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(2020/8/18 3017 掲載)

堂島経営改革協議会が佳境入り
早ければ月内にも最終提言、株式会社化は来年1月か

 大阪堂島商品取引所のあるべき将来像について議論する「大阪堂島商品取引所経営改革協議会」の第8回会合が13日、オンライン会議システムを通じて行われた。冒頭で堂島取からコメ先物本上場達成に向けた市場振興について説明があり、次いでキャッシュフローの状況が示された。今回の意見交換ではこれまでの有識者による議論で見えてきた方向性が固まったとして、今後は取りまとめに入り、早ければ月内にもあるべき将来像が最終提言として示される。なお堂島取の株式会社化は、手続き上の理由により来年1月まで遅れる見通しだ。


残り1年でコメ先物市場の活性化を目指す

 農水省は明言していないが、コメ先物の本上場を達成するには1日2,000枚ほどの出来高が必要というのが業界の共通認識となっている。4度目の試験上場延長が決まった昨年8月から今年6月までの合計出来高は22万4,927枚だが、1カ月平均で2万448枚、1日平均で1,016枚と目標の半分しか達成できていない。

 これを残り1年で1日2,000枚に持っていくためには、単純計算で今後1日3,000枚の出来高が必要になる。現状ではコメ先物における大半の出来高が岡安商事、豊商事、コムテックスの3社に限られるが、例えばこれを受託会員である岡地、サンワード貿易、日産証券のバックアップが得られた場合、1社当り1日500枚で目標枚数に到達する計算となる。

 堂島取は上記目標を実現させるため、受託会員をメンバーとする市場振興部会を立ち上げ、コメ先物市場への参加協力を要請してきた。7月20日の第3回会合では取引数量拡大についての具体的な議論が行われ、メンバー間の合意を得ている。

 また7月30日には受託会員の代表者意見交換会が行われた。これらの会議は堂島取が主体となって開いたものてはなく、経営改革協議会の議論の進展に伴い、あるべき将来構想の方向性に賛同する声が増えていった結果、コメ先物を本上場させようという業界側の意志によって実現したものである。

 こうした協力要請について、当初から全社が積極的な対応を見せたわけではなかったが、多方面からの要請が功を奏した形で、8月に入って以降新潟コシの出来高は実際に増えている。

 農水省が出来高の他に判断基準としているのは、コメ先物市場に参加し取引をしている生産者数で、これは総数ではなく「試験上場期間中に新規参入した数」が評価基準となる。

 現在、堂島コメ先物市場に参加している生産者は100社だが、6目末時点で建玉を保有しているのは、このうち55社である。これは前回試験延長の2年間に比べて倍増のペースで推移している。

 試験上場の認可基準は@十分な取引量が見込まれないことに該当しない、A生産・流通に著しい支障を及ぼすおそれがあることに該当しないというもので、これが本上場の認可基準では@十分な取引量が見込まれる、A生産・流通を円滑にするために必要かつ適当─に変わる。いわば試験上場は加点方式、本上場は減点方式で合否が決まる。

 堂島取はコメの本上場に関し、最終申請期限である来年7月までに農水省に対して現状報告と本上場申請を行わなければならない。その際5度目の試険上場申請はあり得ない。そもそも2015年の2度目となる試験上場延長申請時、食料産業局長名義で「農産物先物市場の試験上場で3回以上延長された事例がないことを留意すること」との通告が出されている。つまり2017年及び2019年の延長がすでに異例の措置であり、堂島取がコメ先物を本上場させるには来年7月の申請時点までに認可基準の2点を満たし、農水大臣の認可を受ける以外に方法はないのである。

 だが農水省は、数年後に起こり得る可能性を考慮した許可申請の判断はしない方針だという。農産物の商品先物を管轄する農水省食料産業局食品流通課商品取引室の福井逸人・前室長は、かつて本紙の取材に対し「申請に対しては、何年後にこうなるだろうという期待で認可判断はできない」と語っている。あくまで直近の2年間の市場状況で判断するとの考えだ。

 ただ「3度にわたる試験上場延長が認められてきたのは、市場が成長していたため」とも認めていた。こうした考えは現在も踏襲されており、来年夏までに市場の拡大傾向が見られれば本上場への申請が通る可能性は高い。

 コメ先物は現4在銘柄が取引されているが、東穀取が解散した2013年2月に同取から移管された業務用を主体とする「東京コメ」、主に家庭用という位置付けであった「大阪コメ」(現在は取引終了)、新潟コシヒカリを対象とする地域ブランド米「新潟コシ」、大阪コメと入れ替えする形で導入した地域ブランド米「秋田こまち」、さらに同「宮城ひとめ」の4商品が取引可能な状態にある。堂島取まずは新潟コシに取引を集中させ、本上場達成への足場を固める考えだ。


コメ先物の生殺与奪は農水省が握る

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 編集発行人:村尾 和俊
(2020/8/18 3017 掲載)