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(2020/9/8 3022 掲載)

堂島取経営改革協議会報告書、
あるべき将来像とは?
早ければ月内、10月上旬には公表の流れに

 大阪堂島商品取引所の経営改革協議会が、月内か10月上旬にも報告書を取りまとめ公表する方針だ。現在最終の調整段階にあり、提言は堂島取の収益改善に限った内容ではなく、より規模の大きなものとなる見通しだ。協議会は慶大の土居丈朗経済学部教授が議長となり、堂島取直轄でなく第三者機関として1月から8月まで計8回、議長三役会議も含めると10回を超える協議を繰り返し、堂島取のあるべき将来像を模索してきた。商先業界からは豊商事の多々良實夫会長が委員となったが、各分野の第一人者が集まり協議の末に詰めた報告書だけに、農水省も注目しているようだ。

 岡本安明理事長は2009年(平成21)12月、関西商品取引所(現・堂島取)の理事長に就任した。就任当時、出来高は年間で10万枚にも到達せず、主力商品がなく苦しい状態だった。そうした中、2011年(同23)8月にコメ先物が試験上場され、会員各社もコメを未来の看板商品と位置付け本上場を達成できるよう協力し、出来高は緩やかながらも伸びていった。

阪堂島商品取引所の年間出来高

 2010年  63,092枚
 2011年 187,203枚
 2012年 209,765枚
 2013年 261,445枚
 2014円 309,874枚
 2015年 412,875枚
 2016年 447,734枚
 2017年 339,521枚
 2018年 230,247枚
 2019年 288,246枚

 ところが2017年(同29)、堂島取は商品先物業界と軋轢を生んでしまう。きっかけはザラバシステムの導入を検討し始めたことで、当初は東商取がすでに導入していたナスダックOMX社の「J−GATE」を共同利用する意向で要件定義など具体的議論を進めていた。個人投資家の注文を受託する堂島取の会員はすべて東商取の参加業者でもあり、同システムを共用すれば会員が新たに回線を準備する必要がなくなる。

 しかし堂島取はJ−GATEを含む4社のシステムを検討した上で、最終的SBI BITSの取引システム「]一Stream」を選んだ。利用料の収入を当て込んでいた東商取は交渉を一方的に打ち切られて激怒し、堂島取の会員も「調査、検討が極めて不十分」と不満の声を上げ、理事会が紛糾した。理事11人のうち会員理事が5人、堂島側の理事も5人と同数で、岡本理事長の一票で取引所の方向性が決まった。

 岡本理事長は会員各社をまわり、SBIのシステム選定に至った考えなどを説明したが、ある会員代表者は「言いたいことだけ言って帰った」など冷ややかな態度で、その後すぐに岡本理事長が日本商品清算機構(現JSCC)の取締役を解任されるなど業界の意趣返しが本格化している。

 堂島取は最終的に「400万口座(当時)を超えるSBI証券の顧客に市場復興を賭けた」という形になったが、当のSBI証券は顧客のリスク管理上「少なくとも試験上場の間は取扱いできない」との考えで、堂島取としては見込みが外れた形となった。

 結局2018年(同30)10月に堂島取はザラバシステムヘ移行したものの、コメ先物の出来高は伸びるどころか落ち込んだ。堂島取は徐々に業界から距離を置かれ、農水省との関係もうまくいっていなかった。コメ先物が継続できる可能性は、この時点ではゼロに近かった。
(以下、続く)

堂島取の「あるべき将来像」、近々公表へ

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 編集発行人:村尾 和俊
(2020/9/8 3022 掲載)