平成23年 1月31(月)(毎週月曜日発行)第1074号
      発行所 有限会社 先物ジャーナル社
      発行・編集人 高橋 伸幸
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日本テクノシステム


 
◇東京証券取引所
  大手オンライン証券が有価証券オプシ]ンに参入
   商品先物会社にとっても営業多様化のチャンス
◇“めらの目”金、米景気の強い見通しで下がる
◇“先物寸言”ソウルで気付いたこと
◆大阪証券取引所=夜間取引時間を延長へ
◆“アングル”
 ・ワインと石油相場は同一歩調〜IMFエコノミストの調査
 ・アイボリー・コースト、ココア輸出停止〜現大統領追放を狙う


東京証券取引所
大手オンライン証券が有価証券オプシ]ンに参入
商品先物会社にとっても営業多様化のチャンス
  
 1月28日、東京証券取引所は、有価証券オプション市場の取引参加者として新たに、SBI証券、岡三オンライン証券、カブドットコム証券、インタラクティブ・ブローカーズ証券の4社が参入すると発表した。株券オプションは、欧米では個人投資家にも株価指数先物・オプションと並ぶ人気取引。わが国ではこれまで、個人向けに有価証券オプションを取扱う証券会社がゼロだったためマーケットが拡大しなかったが、今回初めて個人投資家を数多く抱えるオンライン大手が参入することで、市場の拡大が期待される。
  
 米先物取引協会(FIA)が、世界の76取引所を対象に調査した2010年1月から6月の先物・オプションの取引高は、先物が56億8575万3558枚、オプションが55億3573万1102枚と先物とオプションの取引高がほぼ桔抗している。
 オプションは、株価指数、金利、商品など様々な市場で取引されているが、米国では、シカゴ・ボード・オプション取引所(CBOE)が2796万2093枚(世界の取引所ランキングで7位)、しかも取引高の70%以上を有価証券(個別株)オプションが占めるなど、有価証券オプションも人気市場の一つとなっている。
 これに対して、わが国の有価証券オプション市場はこれまでなかなか拡大しなかった。その最大の理由は、東京証券取引所の場合、有価証券オプションを個人投資家に営業・紹介する証券会社などの市場参加者がゼロだったことだ。東京証券取引所では、2009年以来、新システムの導入や個人投資家向けの有価証券オプションセミナーを重ねるなど、オプション市場構築のためのテコ入れを繰り返してきたが、肝心の証券会社が取り扱わないのでは、拡大のしようもなかった。
 しかし今回、現株投資家210万口座を抱えるSBl証券に加え、カバードワラントやETFなど多彩な商品メニューで知られるカブドットコム証券、FX取引で急成長している岡三証券、オプションについても世界最大手の1社であるインタラクティブ・ブローカーズ証券の4社が新たに参入したことで、現株を抱える個人投資家が、株価指数オプションだけでなく、個別株のオプションを利用する可能性が一気に高まった。
 実際、株式投資が普及している米国では、1997年のCBOE調査で、同取引所のオプション取引利用者の内、個人投資家が50よ%以上を占めるなど、オプションもまた個人投資家に広く普及している。
 株式市場の下落で、多くの個人投資家が現株を抱えたまま身動きが取れずにいる目下のわが国の株式投資環境を打開するためにも、今後は、手持ちの株式を生かしてコールを売る「カバードコール」などの多彩なオプション取引戦略が改めて見直されていい。今回の、大手オンライン証券の有価証券オプション市場への参入は、市場変革の大きなチャンスに違いない。
  
 商品先物会社も参入を
 有価証券オプションは目下、「不招請勧誘禁止」にあえぐわが国の商品先物取引会社にとっても、新たな「メニュー」の一つになる可能性がある。
 というのも、例えば、商品先物会社が「兼業」で証券仲介業者などになれば、電話・訪問による対面営業で株価指数先物・オプションや有価証券オプションなどのデリバティブを営業することができるからだ。
 むろん、それでも「再勧誘禁止」であり、しかも現株だけでなくデリバティブも営業できる証券一種の外務員資格取得も必要になるのだが、例えば株価指数先物なら手数料を8000円に設定しても、指数が2円動けば手抜けとなる。収益面では、商品先物と遜色がないことになる。
 商品先物市場では今、ついに3000人を割ってしまった残りわずかな登録外務員たちが、「損失限定取引、スマートCX」や金現物などで従来型の電話・訪問勧誘を続けているが、中には東京金融取引所の「くりつく365」などの金融商品に主力の営業部隊を移している会社もある。
 また証券会社の中にはすでに、商品先物外務員を積極的に採用する会社も出始めている。その意味で、今後は、証券デリバティブに興味を持つ商品先物会社も増えるのではないだろうか。
 あるオンライン証券関係者は、こうした商品先物会社とその外務員の今後の動きについて、こう語る。
 「株式経験者の中でもデリバティブに関しては初心者という方が数多くおり、そうした方々には、対面サービスが必要です。われわれも対面勧誘は不要ですが、対面サービスは求められます。その意味で、商品外務員は今後、証券デリバティブの外務員としてチャンスがあると思います」。
 証券デリバティブの普及を契機に、証券業界と商品業界の垣根がさらに低くなりそうだと思わされるコメントではある。
 ちなみに、商品先物オプションは、今回の法改正で、不招請勧誘禁止の対象になっている。
(益永)
 (2011年1月31日―第1074号)