平成24年月28日(月)(毎週月曜日発行)第1138号
      発行所 有限会社 先物ジャーナル社
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日本テクノシステム


  
◇外国籍ファンド=エース交易出資
   商品先物業者の「対面営業カ」に魅力
◇"先物寸言" NYSE、東証そして東工取
◆"焦点" 全国商品取引業厚生年金基金、解散へ
◆第5回産構審=勧誘規制は「結論出ず」
◆フィリップ証券=東工取の取引参加者資格を取得
◆"著者インタビュー"
 阿部直哉著『コモディティー戦争─ニクソン・ショックから40年─』


外国籍ファンド=エース交易出資
商品先物業者の「対面営業カ」に魅力
  
 5月17日、エ−ス交易はかねてから資本業務提携交渉を続けていたTiger Trustグループ(以下Tiger社)の100%子会社であるエポリューション・キャピタル・マネジメント(本拠米カリフォルニア)と資本業務提携を結び、エポリユーション社が100%出資しているTiger investment Enterprise Holdings LLCを割当先とした第三者割当による新株予約権の発行総額の払い
込みを完了したと発表した。新株予約権の行使価格は1株当たり220円で、請求期間は3年。仮に、行使されると持ち株比率18.08%の筆頭株主となる。
  
 見直される商品先物業者
  
 異業種企業や外国企業から商品先物取引業者への出資・買収話は、商品先物業者が相次いで証券市場に上場された90年代半ば以降、水面下ではよく聞かれる。実際に、豊商事、エイチエスフューチャーズ等幾つかまとまった話もあった。
 それは実は、2011年に不招請勧誘禁止が法律化されてからも同様で、法改正後の1年半の間に実際にまとまった案件は無かったものの、今回、Tiger社の出資を受け入れたエース交易も含めて、他の大手商先業者には「水面下で今も、この種の話は多い」(エース交易関係者)と言う。
 その第一の理由は、「商先業者の対面営業力にある」と語るのは、エース交易のある役員だ。
 「Tiger社は当初、証券会社を手に入れようとしていたようだが、海外の方から見ると、今の日本の証券会社の対面営業力は弱いと思ったようだ。最終的に弊社に出資が決まったが、弊社に限らず、国内の商品先物会社の体面営業力に、かれらのような外国人は間違いない。日本の個人マネーの大きさがその背景にあるだけに、今後、他の商品先物業者でも、この種の話が出てきても驚かない」と言うのである。
  
 期待される新たな経営
  
 Tiger社は2004年に設立され、エポリューション社の他、eワラント証券なども保有する外国籍の信託。総資産は6570万1千米ドル、2011年の純利益は241万9千米ドルと「成功しているファンドの一つ」(エース交易関係者)だ。
 同社が最大株主として出資している会社の一つ、トラ・ホールディングス社の子会社のトラ・トレーディング・サービス社も、アジア地域を中心に、14ヶ国及び12市場で、約700プローカー及び24証券取引所の接続実績を持つ金融システム会社として知られている。エース交易は、こうした多様な金融ビジネスを展開するTiger社との提携関係を生かして、「世界に通用する金融システムと金融商品の創出、営業力の強化を通じてさらなる事業の拡大と企業価値の向上を目指したい」としている。
 両社が計画する今後の事業は、
 @トラ・ホールディングスの100%子会社であるトラ・トレーデイング・サーピシズの「Trading Systems」(商品・為替・証券を含むマルチシステム)の共同開発及び営業 
 A共同開発システムを利用した自己売買、及び同システムによる運用を行うファンドの組成、販売
 BTiger社グループのシステムノウハウ等を活用した当社におけるネット取引(商品先物、FX取引)事業の拡充
 Ceワラント証券株式会社との当社における対面取引・ネット取引向け「新金融商品」の共同開発及び販売
 D双方が運用するファンドの日本及び海外でのクロスマーケティング
 E「多数の商品の組み合わせ販売プラットフォーム」の共同開発及び販売並びに「総合金融サービス会社(商品先物取引仲介業、金融商品取引仲介業)」の設立及び運営等で、どちらも、自分の足りない部分を補完し合う課題を選んでいるという意味で、面白い業務提携になりそうだ。
 ちなみに、Tiger社が購入したエース交易の新株予約権の総数は3700個(370万株)で、同社の持ち株比率は、4月26日現在のエース交易の発行株式数2046万4052株の内、保有自己株式及び単元未満株式を除いた議決権の総数16万7443個(1674万4300株)に対して22.10%、行使された場合は18.08%となり、Tiger社が筆頭株主となる。ただし、仮に、Tiger社が権利行使しても、これまでの筆頭株主である榊原秀雄氏(12.22%)や、他の主要株主の持ち株比率はほとんど変わらない予定だ。
 むろん、今回新たにホールディングカンパニーを創設し、その役員構成は、Tiger社側が4人、エース交易側3人となるため、エース交易も従来のような経営決定が続けられるかどうかは分からない。しかし、それでも、榊原氏も含めて、同社の主要株主からの反対は特に聞かれなかったという。
 ちなみに、昨年12月には190円前後だったエース交易の株価は今年に入って3月に250円前後まで急上昇した後、4月以降は一時220円台まで下がっていたが、発表後は再び250円台に回復している。
 (2012年5月28日―第1138号)