平成24年月4日(月)(毎週月曜日発行)第1139号
      発行所 有限会社 先物ジャーナル社
      発行・編集人 高橋 伸幸
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日本テクノシステム


  
◇上海期貨交易所、米ドル建て原油取引開始へ
  海外投資家誘致で「世界のベンチマーク」狙う
◇"先物寸言" 105年ぶりの東京商品取引所 先人たちの思いとは
◆CMEグループ=駐日代表に数原泉氏
◆東穀取=4商品を東工取、コメを関西取に移管
◆杉江雅彦氏が叙勲
◆"焦点"アジアの商品取引ハブはどこに?
◆振興協会=「CX(商品先物)講師宅配便」を開始
◆FIA=東京会議を開催
◆日本ユニコム=先物取引枚数に応じてポイントサービス
◆ニューエッジ=ギリシャ証券取引所から撤退
◆"アングル"
 ・丸紅Gavilon社に53億ドルを賭ける
 ・中国、消費し陰り、しかし原油・コーン需要は増える
 ・農産物価格高騰に乗り遅れる食品会社株
 ・原油価格急落の矢面に立つエネルギー関連株


上海期貨交易所、米ドル建て原油取引開始へ
海外投資家誘致で「世界のベンチマーク」狙う
  
 上海期貨交易所のウォン・リファ理事長は5月28日、「現物受渡しを伴う原油先物取引の2通貨建て取引を年内にも、海外投資家に対して開放する計画だ」と語った。中国元に加えて追加されるのは米ドル建て取引。外国投資家には、あらかじめ建玉の上限が設定され、その範囲内であれば、中国元、米ドルのどちらでも取引が可能で、2通貨間の乗り換えも随時行えるという。多通貨取引は「国際的なベンチマークを目指す戦略」(リファ理事長)の一つで、今後、他の上場商品にも導入する予定だともいう。
(益永 研)
 商品先物も「国」の戦略の一つに
 中国ではすでに、海外の一部機関投資家に、中国本土市場での株取引を認めるなど外国人投資家誘致に乗り出しているが、これまでのところ元取引であることや、政府規制があることなどから外国人投資家による取引はそれほど伸びていない。そのため、外貨建て取引が導入されても、「世界の原油市場に大きな影響があるかどうかは疑問」(フィナンシャルタイムズ紙)という見方もある。
 しかし一方で、原油だけでなく、銅「鉄鉱石他の商品の世界最大の輸入国でもある中国は、昨年末から今春にかけてシカゴ・マーカンタイル取引所、シンガポール取引所、ロンドン金属取引所(LME)などで、中国銀行の子会社が清算会員となり、世界の商品先物市場でも存在感を増しつつある。
 また、昨年来、NYSEユーロネクストLlffeやCMEなど世界の主要取引所が買収に名乗りを上げているLMEについても、「もう一つの中国取引所」である香港取引所が買収することが「ほぼ確実視されている」米国の祖着物ブローカー)。
 これらの取引所には、日本の商社や銀行なども清算会員として加入しているが、「直接清算メンバーに加わったのが、大手製油メーカーや商社でなく、中国銀行の子会社というところが中国らしい」(米国先物ブローカーと、欧米の先物関係者も注目している。
 実際、今年5月初旬に上海で開かれた国際先物会議に参加した米国のあるブローカーは、「昨年の取引高をまとめたFIAの資料が違っているのではないかと思ったほど、中国人の商品先物に対する関心は今も高い。今回も千人近い人々が集まり、その8割近くは投資家だった。今年の取引高は再びシカゴに負けないほどになるのではないか」と語る。
 「米ドル建て取引が始まり、銀行口座の送金が自由になれば、海外からの取引も増えるだろう」とも言う。
 ちなみに、中国の原油市場は現在、SinopecとCNPCの2社の独占状態。もし取引所の原油先物市場が成功してしまえば、この2社の価格決定権を脅かすことになる。
 しかし、「だからこそ、外国人投資家と外国通貨に対して、市場を開放していかなければならない」と同取引所関係者は語る。「中国自身が国際的なベンチマークとなる価格決定ができなければ、今後の中国の発展はない」。
 今の中国にとっては、商品先物市場もまた「国策」の一翼を担う存在であるということだろう。
 (2012年6月4日―第1139号)