平成24年月23日(月)(毎週月曜日発行)第1146号
      発行所 有限会社 先物ジャーナル社
      発行・編集人 高橋 伸幸
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日本テクノシステム


  
◇商品先物振興協会・3商品取引所
  平成25年度税制改正要望を提出
   「金融所得課税の簡素化、一元化」を要望
◇"先物寸言" エルニーニョがやってくる
◆シンガポール=第二のオフショア人民元センターに?
◆"焦点" 異常気象と商品先物市場
◆PFG会長逮捕
◆国内商品先物取引高 一般大豆、1日1万枚ペースに
◆"人事" 商品先物取引会社トップ交代
◆シンガポール政府=FX預託金を2倍以上に


商品先物振興協会・3商品取引所
平成25年度税制改正要望を提出
「金融所得課税の簡素化、一元化」を要望
  
 日本商品先物振興協会と東京工業品取引所、東京穀物商品取引所、関西商品取引所は7月10日、平成25年度税制改正要望を経済産業省・農林水産省に提出し、19日に同協会理事会でそれを報告した。要望内容は@株式や公社債、預貯金等の金融取引とデリバティブ取引の損益通算、A決済差損失の繰越控除期間の延長、B外国商品先物市場における取引損益の申告分離課税、C国際課税に係る税制措置の4点。そして、金融所得課税の簡素化と一元化をすすめることが、個人投資家や当業者、外国人投資家の取引利便性を高め、わが国の金融・商品デリバティブ市場の流動性増大につながるとしている。
(益永 研)
 税制改正でリスク投資の環境整備を
 先物振興協会は平成19年の発足以来毎年、商品先物業界団体と連名で税制改正要望をまとめている。
 金融所得課税の損益通算範囲拡大についても、「金融所得課税の一元化」の柱の一つとして当初から要望し続けてきたものだ。そして昨年度、政府から平成26年に上場株式の配当・譲渡所得等の税率20%の本則に戻ることを前提として、「平成25年度税制改正で、公社債等も含めた課税方式の変更と損益通算範囲の拡大を検討する」との回答も得ている。わが国金融市場は今、国際化・総合化に向けて本格的に動き始めている時だけに、商品デリバティブ取引の税制も今後「一元化」の枠内に入るのかどうか、注目される。
 仮に商品先物取引についても、株式や公社債、預貯金等の現物資産取引との損益通算が認められれば、単なる個人投資家の投機手段というだけでなく、機関投資家やファンドのためのポートフォリオ・ヘッジ手段、あるいは本来の当業者のヘッジ手段として使われる機会も増えそうだ。
 今回はこの他、昨年度に続き、海外商品市場取引での損益についても国内同様の申告分離課税にすること、逆に海外から国内市場で取引する際に、国内にサーバを所有・賃貸して売買システムを使って自動売買をする場合に、そのサーバを恒久的施設とみなさないこと(恒久的施設の場合は、二重課税または税率の高い日本の税制に合わせる必要がある)なども要望。また、現在は3年間の期限付きである損失控除繰越期間の延長も新たに加えられた。
 ちなみに海外商品先物市場での取引については、その損益に係る課税は総合課税により超過累進課税。そのため、国内商品取引と海外商品取引の損益を通算することができない。市場間裁定取引が困難になるなど、投資家からみれば不便な税制になっている。
 
 国税局・海外投資家利用の国内サーバは恒久施設とみなさず
 また、日本国内に拠点を有しない海外投資家が、国内にあるサーバーに取引用ソフトやデータをインストールし、取引所において取引を行う場合、それが「恒久的施設」とみなされて課税されるかどうかについては、東京国税局がこのほど、東京工業品取引所に対して、「当該事実のみをもって、当該外国投資家が本邦内に恒久的施設を有していることにはあたらない」と回答した。
 前述の税制改正要望にも見られるように、外国投資家が、東京工業品取引所の市場参加者等の所有する国内サーバーに、アルゴ用ソフトなどを設定し、それを使って自動売買するケースが出てきた場合、これが「恒久的施設」と判断されれば、課税対象となり、外国投資家にとっては二重課税あるいは、税率の高い方で徴収されることになり、外国投資家を日本誘致する際に障害になりかねない。
 今回の回答で、ひとまずその恐れはなくなったといえる。
 同協会は、今回の税制改正要望に併せてホームページで「税制アンケート調査」を7月30日まで行っている。対象は、商品先物を取引している投資家で、質問は「金融デリバティプと商品デリバティブとの間で損益通算が可能なのかご存知ですか」など5つ。回答者の中から希望者には抽選で150名に食事券(500円分)が贈られる。
 (2012年7月23日―第1146号)