平成24年月6日(月)(毎週月曜日発行)第1148号
      発行所 有限会社 先物ジャーナル社
      発行・編集人 高橋 伸幸
〒103-0013 東京都中央区日本橋富沢町11−15−702
TEL 03-3668-3450 FAX 03-3664-9275
購読料・月2,310円 年27,300円(税込み


日本テクノシステム


  
◇商品先物累計出来高(平成24年1月〜7月)が4ヵ月ぶりに前年上回る
  東穀取は14ヵ月ぶりに30万枚台を回復
◇"先物寸言" 附帯決議を見て
◆"談話室" ドイツ人はなぜマルクに戻らないのか?
◆不招請議論は将来に
◆"アングル"
 ・一部償還相次ぐ大手ヘッジファンド
 ・NYSE、アルゴ取引システムトラブルで148銘柄を調査
 ・中国鉄鋼会社の利益は96%まで落ち込む
 ・韓国銀行、新たに金16トンを購入


商品先物累計出来高(平成24年1月〜7月)が4ヵ月ぶりに前年上回る
東穀取は14ヵ月ぶりに30万枚台を回復
  
 国内商品先物市場の今年7月の出来高は、金の出来高が75万1839枚(前月比約14万枚減)と2ヵ月連続で減少したこともあって、全体では209万2247枚と前月比約5%、前年比では約14%の減少となった。しかし、一方で、東京穀物商品取引所の出来高が33万2841枚(前月比約18万枚増)と昨年3月以来14ヵ月ぶりに30万枚台を回復。3商品取引所の今年1月から7月までの累計出来高も854万2406枚(前年比9%増)と4ヵ月ぶりに前年同期(782万9706枚)を上回った。
(益永 研)
 穀物は増加しても、3取引所合計は減少
 国内商品先物市場ではここ数年、金を中心に営業する商品先物会社が多かったが、主力の金の価格が今年2月末から下落、6月以降も1kg4000円台前半で方向が定まりにくい動きになっていることなどから、「6月からは、穀物取引の経験のある個人投資家については金市場から穀物市場に積極的に資金を移す動きも見られた」と商品先物関係者。
 またドットコモディティなど一部の商品先物取引会社の中には、6月以降、穀物中心のセミナーやキャンペーンを実施した会社もあり、「新たに大豆やコーンを取引したいと言ってきた投資家もいた」(商品先物関係者)という声も聞かれる。
 実際に、東穀取の会員別・月間売買高ランクによれば、1位のドットコモディティでは、とうもろこしが6月の1万9636枚から7月には6万8713枚へと5倍以上、大豆も2万3322枚から5万6343枚へと2倍以上それぞれ増えている。その中には「今回新たに穀物について関心を持った人もいたが、FXや金から移った人も少なくなかった」(ドットコモ社に取次いでいる商品先物会社関係者)というから、タイミングの良いセミナーやキャンペーンには効果があることも分る。
 結果的に見て、7月の個別商品の出来高そのものは、一般大豆が前月に比べて約9万枚増、とうもろこしが約10万枚増となり、金の出来高減少分以上増加したものの、総合的には、その他の商品の減少分までは足りなかった形となった。これは、新規顧客が不足していることはもちろんだが、東工取中心に取引しているいわゆるプロップ・トレーダーたちに新たな移動が見られなかったことも理由の一つだと見られている。中には、「東京市場はますます小さくなって、一部トレーダーに振り回されるケースがでてきた。だから最近は米国市場での取引を増やしている」というプロップ・トレーダーもいる。今後、東工取に農産物が移管される際には、国内穀物市場についても改めてプロップ・トレーダーが参加しやすい環境をどう作るかを検討する必要がありそうだ。
  
 穀物を起爆剤に
 営業の現場では、穀物市場の出来高増加を素直に喜ぶ商品先物関係者が多い。
 「何よりも、大豆やとうもろこしに個人投資家の関心が戻り始めているのがうれしい」と言うのは、ある商品先物会社で、過去15年間、穀物を専門に営業してきた歩合外務員。
 シカゴと東京の穀物市場は鏡相場とも言われ、実際に、今回も大豆は昨年12月に最安値をつけて以来、どちらも一時的な修正安場面はあったものの、7月末までほぼ似たような上昇トレンドをたどってきた。
 そのため、シカゴ商品取引所(CBOT)の大豆市場では今年2月以降、7月末までの出来高が1日平均約20万枚、日によっては30万枚から40万枚に達する活況を続けているが、それに対して、値動きでは同じ「チャンス」があるはずの東穀取の一般大豆はこの間、1日平均約4200枚と伸び悩んだ。「昨年来の世界的な天候異変や穀物相場高騰にもまったく投資家が反応しない日々が続いて、今なら株やFXよりも面白いのになぜ参加してくれないのかと残念に思っていた」とこの外務員は言う。
 しかし、6月中旬以降、「1956年以来最悪」といわれる米国の熱波・干ばつの話題がわが国マスコミなどでも話題になる機会が増えるようになった。東穀取の出来高も1日5千枚を超える日が増え、7月中旬からは1万枚を超える日が続くようになった。
 そして、7月の一般大豆出来高は15万9827枚と6月の6万8178枚の倍以上にまで増えた。とうもろこしも同様だった。現場の外務員にとっては、これまでにない手ごたえがあったともいう。
 「世界的な異常気象はまだ続いているし、何よりも世界的な食糧不安はこれからさらに大きな話題になると考えて次の仕掛け時を狙っているお客様もいる。金や石油だけでなく、穀物もあっての商品先物。改めて、そう感じているところ」だと言うのである。
 とうもろこしも一般大豆も、一時的な「天候相場」で終わるという見方もある。だが、仮に今回の相場はそれで終わっても、その一方で、欧米各紙が8月に入っても書き続けているように、世界的な異常気象の連鎖、あるいは食糧不安・食糧インフレ懸念、あるいはファンドの乱入など穀物市場に関する話題は今後も尽きることはないだろう。
 実際に、7月にブッシェル当たり8.24ドルの高値を記録したコーンも、8月2日には7.96ドルと最高値から4%下落している。ただし、その同じ8月2日には、日本に次いで輸入国として世界第2位のメキシコがいち早く、1日の買い付け量としては史上4番目(一、二番はロシア、三番は不明)に多い150万トンのコーンを買い付けたと米農務省が発表した。収穫不安がある中、どこが、どれだけ買い付けるか、これからも注目され続けるに違いない。
 来年2月にスタートする総合的な商品取引所を成功させるためにも、農産物市場の復活を期待したい。
 (2012年8月6日―第1148号)