平成24年12月10日(月)(毎週月曜日発行)第1164号
      発行所 有限会社 先物ジャーナル社
      発行・編集人 高橋 伸幸
〒103-0013 東京都中央区日本橋富沢町11−15−702
TEL 03-3668-3450 FAX 03-3664-9275
購読料・月2,310円 年27,300円(税込み


日本テクノシステム


  
◇米国でFX会社が相次ぎ撤退 GFTは資金不足でリテール撤退
◇"先物寸言" 惜別 〜野球をこよなく愛した男
◆"談話室" 株の私設取引、FXの店頭取引、商品の店頭取引は?
◆「東京 Gold Festival '12」に個人投資家300人
◆インターネット取引口座 証券は61社・1779万口座
◆商品は11社・2万5860口座
◆エース交易=臨時株主総会を中止
◆"先物文化" 脳の地図と「かのやうに」B


米国でFX会社が相次ぎ撤退
GFTは資金不足でリテール撤退
  
 12月3日、日本でも大手証券・FX・商品先物業者のカウンターパーティーとして知られる店頭FX・CFD会社のGFTが、米先物取引協会(NFA)の指導を受けて、米国内のリテール・ビジネスから撤退することを明らかにした。同社は米国では12月2日(日)午後7時(東部標準時間)に建玉を閉じた。これに伴い、日本でも3日から新規発注ができなくなり、同社にカバーしているFX・CFD会社の一部が混乱した。同社の日本法人関係者も金融庁など監督官庁への説明に追われている。米国では今年に入り、Forex Club Advanced Marketの社に続き3社目のFX会社の撤退となった。
(益永 研)
 FXだけでない金融ビジネスの変容
 「わが社の商品CFDは、イギリスのGFTに口座を移すとだけ聞かされた。特に、心配はしていない」。
 12月6日、GFTをカウンターパーティーとして利用している日本国内のある商品先物会社の関係者にGFTのリテール撤退について聞くと、こう語った。
 しかし、米国の先物業界では、レフコ、MFグローバル、そしてベレグリン・フィナンシャル・グループ(PFG)の例もあり、今回のGFTの突然のリテール撤退発表に悪夢の再来を予感する関係者も少なくない。日本のFX・CFDビジネスについては、個人投資家資金の信託化が義務付けられているため、米国ほどの不安感はみられないものの、相次ぐ米国業者の破たん・撤退の話題は「やはり気持ちの良いものではない」(FX関係者)という声も多い。他の外資系大手FX会社にも、日本のFX業者からの問い合わせが増えているようだ。
 GFTは2006年に日本進出以後、リテールからBtoBへとビジネスモデルの軸を移しており、つい最近まで、商品先物業界でも複数の会社に対して海外商品先物市場への取次サービスを提供していた。FX・CFDについても、R証券、I証券、N証券等がFXを、Dコモディティ、I証券などがCFDで、同社に口座を開いていることが知られている。これらの会社は、複数のカウンターパーティーを持っており、「問題ない」(Dコモディティ)というが、中小FX会社の中には、同社だけをカウンターパーティーとしていた会社もあり、つなぎ先探しに時間がかかれば、問題が出る可能性もある。
 「何にしても、日本企業であれば、何らかのアナウンスがあってから、時間的余裕を見て新規注文の停止、既存口座の返還などに取り組むのが普通だ。今回のGFTの突然の措置は、まるでMFグルーバルやレフコの破産時と同じ。外資系FX会社の信用をさらに損なう行為になった」(外資系FX会社東京代表)という印象は否めない。11月30日に日本子会社を廃業したCMCマーケッツ・グループでさえ、発表からおよそ2か月間の時間的余裕はあったから、監督官庁である金融庁の指導が行き届いていると思わされたところだっただけに、今回のGFTの動きに驚かされた関係者も多かったに違いない。
 インターネット上ではすでに、「同社と直接関係のない個人投資家についても、同社をカウンターパーティーにしているFX会社に口座を持っている人は要注意」といった書き込みも見られ、FX市場を巡る不安と混乱はまだ続く可能性がある。これを契機に、ますます大手の占有化が進むのではないかという声も聞かれる。
 ただ、国内の個人投資家については、仮に最終的な注文がどこへつながれようと、国内の信託に顧客資産は分離保管されているから、基本的に預託資金保全についての心配はない。だが、米国では、FXビジネスは今後さらに規制が厳しくなる可能性がある。

 米国ではまだFX会社の廃業が続く?
 同社の米国法人に対しては、かねてから米先物取引協会(NFA)から「資金不足と改善」が指摘されていた、とFX関係者は指摘する。米国では昨年10月のMFグローバル破たん、今年のPFG破たんなどで先物・FX会社の分離保管に対する信頼が揺らいでいる。一方で、米議会では、ドッド・フランク規則も制定され、金融機関の清算・取引規則の強化が進んでいる。このため、先物業界でも米商品先物取引委員会(CFTC)とNFAを中心に、業者の自己資本見直しが図られた結果、GFTのように、フルカバーをしないFX業者についてはより厳しいビジネス環境になりつつあり、「FX業者の
米国からの撤退はまだ続く」(米国FX関係者)と見られているというのである。
 ドッド・フランク規則におけるFXの取り扱いについては11月16日に、FXスワップとFX先渡し取引は適用除外とする最終決定が下されているが、いずれにしても業者自身の自己資本をさらに厚くしなければビジネスを続けるのが難しい環境になりつつあるのは確かだ。
 ちなみに、ドッド・フランク規則に関わる米財務省のこの決定によって、FXスワップと先渡し取引の会社については、ドットフランク規則で定められているスワップディーラーやその取引の主要参加者の登録義務については適用除外となったが、それでもFXスワップと先渡し取引も報告義務や業務管理など他のドッド・フランク規則は適用される。また、FXオプションや通貨スワップ、受渡しのない先渡し取引など他のFXデリバティプ取引については、こうした適用除外はない。
 わが国では、すでにFX規制は米国以上に厳しくなっていると思われるが、それでも、これだけカウンターパーティーである海外FX会社に問題が続くと、日本のFX・CFDの店頭業者についても、今後はそのビジネスに対する視線が厳しくなるかもしれない。
 現在の商品先物取引法では、例えば、「東京工業品取引所の上場商品を対象とした店頭取引商品商品CFD)を、商品先物会社やFX会社が取り扱うことも可能」(経済産業省)である。海外での規制強化を機会に、東工取の金先物を対象とする商品CFDを、自ら提供する業者が現れないものだろうか。
 (2012年12月10日―第1164号)