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取引所グループ
福島 恒雄
 旧冬の総選挙により政権が変り、株価も為替もずい分明るい方向に動き始めたが、当業界を振り返ると、東穀や厚生年金の解散などなかなか明るい情報は聞こえてこない。
 年初にスタートした日本取引所グループに東工取はどう関与していくのか、本年前半にはその方向性が示されるとのこと。報道によれば、日本取引所グループでは、社長自ら商品先物の上場に向け積極的な発言をされているようで、本来なら、もはや背水の陣を強いられていると言わざるを得ない当業界の方が積極策を打ち出してしかるべき、と思うのだが、どうしても、責める証券・受け身の商品、という構図をここに見てしまうのは私だけだろうか。
 報道等によれば、日本取引所グループ社長は、商品先物上場について、受渡しを含め物流等について研究しながら進める方針、とのことであるが、この方針は、昨年成立した新金融商品取引法の商品デリバティプ関連商品の定義と矛盾しているような気がするのだがいかがだろう。
 また、同グループはあくまで東証と大証が傘下に入ったもので、将来的には現物株は東証に、デリバティブを大証に集約するということらしい。
 日本取引所グループの現在までの動きは、東京金融取引所が加わっていないということを考えると、証券業界が持ち株会社を使って内的整理整頓を進めているだけのことで、新金商法の目指す総合取引所構想とは次元が違うもののように見える。総合取引所構想への過渡的段階のものとは到底思えないのであるが、仮に、過渡的段階と考えるにしても、総合取引所に至るまでの道のりは非常に遠いところにある。
 東工取が日本取引所グループの傘下に入るとしても、証券デリバティブは大証に集約されるものの、商品先物は別個の存在として、商品先物取引法に基づく取引所として存続することになる。それに前後して東京金融取引所が日本取引所グループに参画しなければなるまい。でなければ総合取引所の素地にもならないわけで、証券デリバティブは大証、金融デリバティブは東金取、そして東工取の商品デリバティブが日本取引所グループの中に納まり、デリバティブ三役そろい踏み状態にしなければならないはずだ。
 果たして、東京金融取引所が日本取引所グループに参画するのか。証券業務に銀行が参入するようになり、一方、野村のような大きな投資銀行が生まれつつあるところを見ると、実態経済的には金融・証券の融合はドラスティックに進んでいるようにみえる。しかし、規制主体の方ではどうだろう。金融商品取引法はあくまで証券取引法が改正されたもので、旧大蔵省証券局のテリトリー。東京金融取引所は同じく銀行局のテリトリーから生まれたもので、今回の金商法改正についても、また、総合取引所構想にもそっぼを向いたままだった。局あって省なしという昔ほどではないにしろ、このテリトリー意識が未だかなり強いことがうかがえる。
 本年、新金商法の政省令の実像が明らかになってこようが、東京金融取引所の動向、日本取引所グループとの関係がどうなっていくのかを注視することで、総合取引所に向けてのその後の動向が見えてくるはずだ。
 以前、商品ファンド協会の稿で、「天下り」ということを念頭に置くとわかりやすいと書かせていただいたが、今回の総合取引所構想についても同様のことがいえるとともに、加えて省益、権益争いを念頭に置くとにわかに見えてくることがある。国際化とか、アジアにおける覇権とか、業界発展とかという修辞句では何もわからないというのが世の常である。