平成25年月14(月)(毎週月曜日発行)第1167号
      発行所 有限会社 先物ジャーナル社
      発行・編集人 高橋 伸幸
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日本テクノシステム


  
◇国内商品先物取引所 2013年、再編と再生に期待感も
◇"先物寸言" 取引所グループ
◆鞄本取引所グループ 統合後初の大発会で新ロゴマークを披露
◆"談話室" 「なぜ、オプションを勧めないのか?」
◆"先物文化" 裏切られる「ハロー効果」
◆東工取=夜間取引比率38.6%に
◆東工取=2012年度検定試験結果


国内商品先物取引所
2013年、再編と再生に期待感も
  
 国内商品取引所の2012年出来高は、3取引所合計で2729万1952枚となり、前年に比べて20.9%減少した。全出来高の93.4%を占める東京工業品取引所も19.5%減の2547万9111枚で、過去20年間では、1992年(約1358万枚〉、93年(約2155万枚)に次ぐ3番目の低水準となった。同取引所の出来高が最高を記録した2003年(約8725万枚)に比べると、3分の一以下にまで減少したことになる。しかし、新年を迎え、円安、株高と景気回復に期待感が高まる中で、商品先物市場も貴金属などの価格が上昇。東工取の出来高も1月7日には17万7629枚を記録した。昨年12月の省令改正で、商品先物営業について部分的ながら緩和されたこともあり、業界関係者の間からは「昨年が大底になるとは限らないが、気分的には今年は上向きそうな気がする」など、新しい1年に期待する声も聞かれ始めた。とはいえ、国内商品取引所が今、存亡を賭けた危機的状況にあることに変わりはなく、今後は、東工取を中心にした取引所再編がその成否を握ることになりそうだ。
(益永 研)
 急がれる商品先物市場再編
 昨年12月20日、東工取は日本商品清算機構(JCCH)の株式を日本商品委託者保護基金、関西商品取引所からそれぞれ譲り受け、100%子会社化することを決定した。
 JCCHはこれまで、国内商品取引についての清算手数料(1枚当り5円)と、預託された委託証拠金の金利をすべて収入としてきたが、業界関係者からは、低金利とはいえ、数億円に上るその金利収入をJCCHが独占することについて疑問視する声も上がっていた。
 JCCHが東工取の子会社として連結納税対象となれば、JCCHの税引き前利益にかかる30%の法人税が東工取の損益と合算され、東工取の経営を助けることになる。経営基盤が安定すれば、東工取も、以前のように参加者に対して取引参加料の値下げなどの形で還元もできることになる。
 なお、JCCHは東工取子会社化の発表と合わせて、早ければ今年夏にも石油業者から店頭取引の清算業務も手がける方針も明らかにした。店頭デリバティブの清算を先物市場の清算機関で行うことが法制化された米国と違い、JCCHを利用する当業者がいるのかどうかが課題だが、国内商品先物市場と清算機能を広める啓蒙機会の一つになるには違いない。
 また、今年2月12日には、東京穀物商品取引所の農産物市場が東工取へ、コメ先物市場が関西商品取引所に移管される。その後は、東穀取は解散手続きに入り、わが国の商品取引所は東工取と関西取の2取引所となる。そして関西取はこれを機会に、大阪堂島商品取引所に名称を変えることも決まっている。これもまた、今年、その成否が注目される再編の一つだ。
 1月4目、東京で開催された商品先物取引業界の賀詞交換会では、商品先物市場の監督官庁である農林水産・経済産業両省の審議官からも「今年は東穀取の解散があるが、伝統のDNAは必ず受け継がれ、再編に大きく寄与するだろう。コメ先物についても今年の夏には一定の結論を出すが、農業のあるべき方向を踏まえて、世界のリーダーとなるべく市場を活性化させなければならない」(櫻庭英悦・農水省大臣官房審議官)、「(商品業界は)昨年はアメフトでいえばディフェンスを迫られた年だったが、今年は事業者のオフェンスの年。これまでと同じやり方では選択肢を狭めていく。商品に限らず、国際化が問われている」(豊永厚志・経産省商務流通保安審議官)など、再編とそれに続く市場再生への期待が述べられた。
 ただ、それを聞いた商品先物関係者からは、「国際化の前に、限られた営業資産は、例えば金に集中するなどして、一つのマーケットでもよいから立て直すのが先決だ。農産物やコメに力を分散していたら、つぶれてしまう」というため息混じりの声も聞かれた。確かに、昨年12月の出来高を見ると、東穀取のとうもろこしは3万6805枚、一般大豆が2万6705枚とまさに瀕死の状態という他ないのだが、それでも両省の許認可を得ている商品先物取引業者には、国内商品先物市場の存続を担う責務も課せられている。2月以降の東工取のマーケティング戦略が注目される。
 国内商品取引所の再編についてもう一つ忘れてならないのは、東工取の国内あるいは海外の先物取引所などとの提携の行方である。
 これについて東工取の江崎格社長は同じ賀詞交換会の挨拶の中で、遅くとも年内、早ければ今年の半ば頃にも方針を明らかにしたいと述べた。
 ちなみに同取引所の提携先候補の一つである日本取引所グループの斎藤惇最高経営責任者(CEO)は昨年末、商品デリバティブについても取り扱う姿勢を示した上で、ただし「石油なら産油国と連携しないと市場のインパクトがない」など、『商品先物分野での参入では、海外取引所との提携を模索する意向を明らかにした』(時事通信)とも報じられている。
 国内取引所の再編は今年、どんな形で進むのか注目していきたい。
 (2013年1月14日―第1167号)