平成25年月4日(月)(毎週月曜日発行)第1170号
      発行所 有限会社 先物ジャーナル社
      発行・編集人 高橋 伸幸
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日本テクノシステム


  
◇松井証券=新たに海外商品先物も開始
◇"先物寸言" 関門勢と強い経済 〜北内正男が遺したもの
◆"談話室" ごまめの歯ぎしり
◆与党税制改正大綱 商品先物=株式の損益通算が「検討項目」に
◆日商協=商取法施行前後の問い合わせ・苦情件数推移きとめる
◆振興協会=省令改正後の効果をリサーチ


松井証券=新たに海外商品先物も開始
  
 2月1日、松井証券は新たに天然ガス、金、とうもろこし、大豆などCMEグループの商品先物についても取り扱いを開始すると発表した。すでに取り扱っているCMEの日経225株価指数先物に加えてS&P500株価指数先物など株価指数先物も増やし、取り扱い市場数は16となる。2月2日から口座の開設を受付け、16日以降の取引開始を目指す。一方でFXの群雄割拠時代が終わり、過当競争に嫌気をさした証券会社の中にはFXビジネスを廃止する会社も相次いでいるが、「今回、松井証券が品揃えを増やすことでへ新たに海外先物の取り扱いに関心をもつ証券会社も出てきそうだ」という声も聞かれる。
(益永 研)
 見直される海外商品先物市場
 海外商品先物取引については現在、ドットコモディティ(商品のみ34市場)、楽天証券(株価指数と商品ど合計31市場)、日産センチュリー証券(株価指数と商品など合計12市場)などが先行している。
 その3社とも注文をつないでいる米国CMEグループとその清算メンバーの1社の関係者などから話を聞くと、日本からこれらの会社を介して出される個人投資家の注文は「まだ多くはないが、当初予想していた数字よりは多い」(米先物ブローカーという。「少なくとも、数年前と比べると、将来に期待が持てる状況になってきた」(同上)ともいう。
 これらの米国関係者の中には、これまでほとんど製作すらしてこなかった日本語のパンフレットや教育資材などを作る動きさえ見られる。
 理由の第一は、昨年は米国やロシアにおける異常気象、中東での紛争・テロなどの話題が相次ぎ、世界中で金、原油、穀物など商品先物市場の動きが注目されたこと。「以前は、日本の証券会社を訪問しようとしても関係ないと断られることが多かったものだが、昨年は、証券会社で時間をとってくれて、金や石油関連の商品には関心があるから話を聞きたいといってくれるケースも増えた」と、前出の米先物ブローカー。
 理由の第二は、日本取引所グループの発足で、「いずれは、自分たちも日本取引所で商品先物に取り組む可能性があると考える若い証券関係者が増えている」(同上)こと。日本取引所グループは30日の記者会見でも、斎藤CEO自ら、「コモディティへの進出」の可能性に触れているが、証券会社の中には実際に、「営業企画や商品開発の若い担当者には、商品も勉強しろと言っている」(国内証券会社営業部長)という声も聞かれる。
 理由の第三は、過去10年間、群雄割拠の争いを繰り広げてきたFXビジネスの帰趨がほぼ見えており、撤退を余儀なくされた証券会社の中に、新たなビジネスを模索する動きがあること。今のところ、海外商品先物取引を手がけているのは、大手ネット証券・商品先物会社だけで、中堅証券会社の多くは、今年に入ってからの株式市場の活況もあって「本業回帰が一番良い」という関係者が少なくないのだが、「中には証券ビジネスだけではリスクが大きいと考える関係者もいて、こうした中堅証券の関係者が海外市場での取引にも関心を示し始めている」(同上)という。

 国内商品は「環境が変われば」
 そしてもう一つ、最大の理由は、「日本の商品取引所が低迷していること」(同上)である。「昔からの国内商品先物取引ファンの中にも、最近はCBOTやCOMEXを試したいという個人投資家がいる。かれらは資金もあるし、いわゆるFXの若い投資層とも異なっている。やりたい人に、ツールを提供するのがわれわれの仕事だ」(海外先物取引を提供している国内証券会社関係者)という声に加えて、松井証券もまた、国内の商品先物市場への参加については「現在のところ予定はない」(前出関係者)という。
 理由は、現在の国内商品市場の流動性の低さだとした上で、「国内の商品取引所取引については、いずれ日本取引所グループと合流するなど環境が変わってくれば考える可能性は出てくるだろう」と言う。前述の他の証券会社や海外先物ブローカーたちの見方を裏付ける発言ではある。
 松井証券は、昨年12月27日付で日本商品先物取引協会に加入し、2月1日、海外商品先物取引開始を発表。「システムのチェックなどがあるので確定ではないが、出来れば⊥6日から新しい取引を開始したいと考えている」(広報担当者)という。
 今回、海外先物市場の品揃えを増やすことについて、松井証券では「大証で夜間取引をやっていることもあり、積極的に取引する投資家の中から海外先物市場での取引銘柄を増やして欲しいという要望はかねてからあった。市場の活況はたまたまタイミングが合っただけ」というが、年明けからの商品市況の高騰も含めて、メニューの中に新たに商品先物を加えるタイミングとしては絶好の場面でもある。先行他社との競争は、「まずは競争可能な手数料水準」から始めるという。
 インターネット取引大手とはいえ、どちらかといえば信用取引やデイトレードなど、証券会社の中でも「証券会社らしい」とされる松井証券の今回の動きは、投資家もまた株価高騰で一息ついている今こそ、他の証券関係者たちにとっても刺激になるのではないだろうか。
 とはいえ、こうした海外商品先物取引を巡る動きはまだはっきりとした潮流になつているわけではない。「東京商品取引所」にとってもまた、商品市場が注目されている今こそ、スタートダッシュのチャンスであり、新たな商品先物ファンを育てるチャンスでもある。海外市場での取引の顧客であれ、ネット取引の顧客であれ、魅力と信用のある市場を作りさえすれば、いつでも国内市場に回帰する。国内外、業種の別を問わず、新たな投資家の創造に互いに競い合うことを期待したい。
 (2013年2月4日―第1170号)