平成25年月4日(月)(毎週月曜日発行)第1174号
      発行所 有限会社 先物ジャーナル社
      発行・編集人 高橋 伸幸
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日本テクノシステム


  
◇米国CFTC、ブロック取引の最小単位引き上げを検討
  デリバティプ規制に新たな争点
◇"先物寸言" 清新と活力と奇略 〜蠣殻町魂は死なず
◆"談話室" 電気・ガス値上げと商品先物取引
◆"アングル" ブラジルのエタノール価格高騰
◆日商協=25年度、規制環境の変化に対応
◆振興協会=25年度、定率会費予納額は1枚当たり1円に


米国CFTC、ブロック取引の最小単位引き上げを検討
デリバティプ規制に新たな争点
  
 2月28日、米国の先物取引所で登録した業者に認めているブロック取引(取引所のプラットフォームやフロアーでの公開取引でなく、市場外で、特定の相手と取引所価格とは異なる単一価格で約定する取引)の最小単位について、商品先物取引委員会(CFTC)が検証を始め、引き上げも検討していることが明らかになった。CMEやICEなど米国の主要先物取引所が昨年末に、ブロック取引の最小単位を切り下げたため、CFTCがその取引数量について検証を始めたと、欧米メディアは報じている。しかし、金融再編の流れの中で、デリパティブ規制強化に苛立つ商品先物業者と取引所からは、「ブロック取引の最小単位にまで監督当局が口を出すのはおかしい」(米FCM関係者)といった声も上がっている。米国の先物市場規制を巡る新たな争点の一つになりそうだ。
(益永 研)
 政府と市場利用者にズレも
 米国の商品先物市場では基本的に、すべての取引は電子取引プラットフォームかフロアーで行われている。「ブロック取引」はしかし、取引所に登録されている特定の業者同士が取引所外で、取引所相場とは関係なく相対で価格を決めて取引し、個別に取引所に報告すればよいと認められている取引だ。
 ブロック収引のメリットは、(1)特定の相手と、相対で交渉して値段を決められること、(2)取引所に通せば一度に消化されず、値段が複数ついてしまうような大口の取引でも、単一価格で取引できること、(3)取引所の清算機関を使うため、安心して取引出来ることなどで、主として機関投資家や大口当業者向けに設定されたサービスであるとされている。
 ブロック取引は、これまで大口の取引を対象に認められてきたが、CMEとICEは昨年末に、その最小取引単位を大幅に切り下げた。例えば、原油オプションは、2012年初めには最低1千枚だったが、現在は100枚になっている。数十品目に及ぶブロック取引認定商品の中には、石炭や天然ガスの先物のように5枚と極端に小さなものもある。当業者といっても、常に大きな取引をする業者ばかりでなく、ヘッジもまたフルヘッジばかりとは限らない。利便性を考えれば、最小単位は小さい方が使いやすいということだろう。
 だが、市場を通さないブロック取引についてはもともと、不透明感があると指摘する人々もいる。特に、米国の政府関係者には、その傾向が強いようだ。今回、取引単位を小さくすることでブロック取引が増える可能性もあり、CFTCが改めてブロック取引の現在の取引単位が妥当かどうかの検証を始めたのも「政府の意向」だと、米国のメディアは指摘している。
 だが、ブロック取引の最小単位の枚数にまでCFTCが口を出すことについては、市場利用者たちから、反対の声が多いようだ。
 欧米メディアでもそのコメントが幾つか紹介されている。
 CMEやICEのブロック取引を利用するスイスの原油トレーダーはこう語る。「取引単位を小さくしても、ブロック取引は機能している。なぜ、単位を再び変えるのか分からない」また、ニューヨークの商品先物業者も、顧客向けのレターで、こう指摘している。「もし、政府が、商品先物市場のブロック取引の最低単位をもう一度、昔のサイズに戻したら、取引高は極端に減り、取引所そのものも危機に陥るだろう」
 米国のデリバティプ規制については、2007年から2009年にかけての欧州金融危機後、2010年に制定され、SECやCFTCも承認したポルカー・ルール(ドット・フランク法)が、銀行などの猛反対に会って、少なくとも、「銀行の自己資金による投機的取引禁止」については、昨年7月に予定されていた最終法案が、今年2月の時点でもまだ出来上がっていないという例がある。
 2月27日付のロイターの記事によれば、米議会では、2013年の前半にも法案をまとめたいとの姿勢だそうだが、その具体的な時期は明らかにされていないともいう。
 銀行の自己取引での「投機的な取引」については、米国では2010年以降、禁止された形であり、結果的に、一部の銀行では資産へッジが出来ず、業務に支障をきたしているという記事もある。市場利用者の利便性を奪うような規制でも、一度決めたら是が非でも施行するのか、これからも注目される話題ではある。
 今回の商品取引所のブロック取引の最小取引単位引き上げは、ドット・フランク法とは直接関係のない話題だが、取引所の利用者たちの希望(利便性)と政府(規制)のズレを、今後、CFTCがどう取り扱っていくのかを見るという意味で注目されそうな話題の一つといっていいだろう。
 ちなみにブロック取引は、東京工業品取引所でも数年前から当業者などを対象に認められているが、その登録社数は10社前後(非公開)とされ、利用件数もまだ少ないという。米国と違い、日本の商品先物市場ではまず、ブロック取引の利便性を享受できる業者探しから始めなければならないということだ。
 (2013年3月4日―第1174号)