平成25年月15日(月)(毎週月曜日発行)第1180号
      発行所 有限会社 先物ジャーナル社
      発行・編集人 高橋 伸幸
〒103-0006 東京都中央区日本橋富沢町11-15-702
TEL 03-3668-3450 FAX 03-3664-9275
購読料・月2,310円 年27,300円(税込み


日本テクノシステム


  
◇商品取引所取組高35万枚割れ 望まれる新たな先物市場の開発
◇"先物寸言" 4・28は主権の一部を放棄した日でもある
◆"談話室" 東商取=市場振興に全力
◆"トピックス" 穀物取引は復活するか?
◆エース交易=クリック365から撤退


商品取引所取組高35万枚割れ
望まれる新たな先物市場の開発
  
 3月末には38万9956枚だった国内商品先物取引所の取組高は4月9日、34万8795枚とついに35万枚を割り込んだ。11日現在も34万7937枚と横ばいに推移している。平成23年1月の法改正以後最低だった平成24年7月2日の37万4080枚を割り込んだ(37万437枚)のが4月4日だったから、週末から週明けにかけてのわずか3営業日で2万枚以上減少したことになる。こうした取組高の減少に一部の商品先物関係者からは、「このまま尻すぽみにならないか心配だ」といった声も聞かれる。しかし、別の商品関係者によれば、「国内商品先物業者のリストラも進んだ。今後、多少の落ち込みがあっても耐久力は十分ついているはず」との見方もある。何より、4月4日に日銀が発表した新たな金融緩和策を受けて円安傾向はさらに長期化すると見られ、2年で2%という政府のインフレ誘導政策についても現実味を帯びてきた。「金などの商品は工夫次第でもっともっと拡大するはず」(FX関係者という声も聞かれる。これは外国市場を対象とした商品CFDの話だが、CFDのみならず、国内商品先物市場についても、特に為替の影響が著しい金や石油などについては、新たな魅力創造のために何をなすべきか、真剣に考える時がきている。

 金ミニの現物受渡しを
 「1キログラムの金のバーは高すぎる。なぜ、取引所はミニ取引の100gバーの受渡しも認めないのだろうか」と、あるFX関係者が語る。
 「日本ではこれまで、金地金は個人の投資対象としてそれほどポピュラーではなかった歴史がある。しかし、一部の商品取引会社のテレビ・コマーシャル効果もあって、今では金地金投資も一般的になってきた。これは、他の商品先物業者も、その恩恵を受けているはずだ。しかし、500万円の金地金は一般個人には敷居が高すぎる。一般個人にとって、必要最低限の預貯金に加えて、株式、投信などを購入していたら、他の投資に回せる資金は少ないのが普通だ。だからレバレッジがきいて、しかも少額資金で取引できるFXに関心を持つ投資家が増えたわけだ。しかし、そんな個人投資家たちの中でも、金には関心があるという投資家が増えているのは間違いないのだから、かれらが望む商品を、望む形で提供して上げればいい。100グラムバーでも最終的には受け渡せるとなれば、商品取引所の方が地金商よりも手数料は安いのだから、ただ単に金を買いたいという投資家だけでなく、現在すでに金を泡えている投資家も、万一の価格下落に対するヘッジのために、もっと先物市場参加者が増えるのではないか」
 東京商品取引所の金ミニ市場では現在、受渡しを伴わない差金決済だけが認められている。理由は、1キログラムの標準取引市場と、100グラムのミニ取引市場の価格が異なってくると、「一物二価」になってしまう可能性があるからだという。だが、金地金を取り扱っている業者に話を聞いてみると、「マーケットだから、買い占め屋みたいのが出てきて、一時的におかしな値動きが出たり、それでなくても100グラムバーに人気があれば、限月によって割高になることなども考えられるが、結局は同じ金地金。値段が異なれば裁定も働くだろうから、受け渡す時には結局値段は同じになるのではないか」と、「一物二価」説には首をかしげる。
 貴金属を取り扱っているある故物取扱業者もこう語る。
 「最近では、金の1キログラムバーより、500グラム、100グラムバーの方が人気がある。だからといって、同じ店の中で、100グラムバーの金の方が割高になるということはない。流通量も十分にある。一物二価が心配なら、受渡しは同じ値段だと決めればいいだけの話ではないか」
 小さな地金に人気があるのは、200万円以上の金地金だと税金対策上、面倒だということもあるようだ。同じ業者が言う。「中には、1キログラムの延べ板をわざわざ切断し、スクラップとして売買するサービスを提供している業者もいるらしい。商品取引所で受渡しをするというと、どうもうさんくさい感じがするが、それでも利便性があったり、収益性が高くなるのなら、興味を持つ投資家も少なくないと思う」
 要は、何が投資家にとって有益かがはっきりすれば、金先物を利用して金を購入する投資家層もまだまだ広がるという意見だ。
 「ただ」と、この故物取扱業者は、こうも言う。「自分自身もそうだが、商品先物と言うと、例えば、金現物を買ったつもりでも、その金を担保に先物取引をさせられて、結局大損させられるというイメージがある。

 先物で損していても、最終的には現物を引き取れば良いというだけの取引なら、同じ資金で、二重の利益の可能性があるのだから関心を持つ人は多いと思う」
 問題はやはり、「業者の問題」になるようだが、こうした声に対しては、改めて、ある商品先物関係者の声も紹介しておく。「今は、商品先物業者もリストラが進み、コンプラも浸透している。昔のイメージをそろそろ払拭していただきたい」。

 「ガソリン券」導入も
 同じく小口受渡しの話題になってしまうのだが、FX関係者からは、こんな声も聞かれる。
 「例えば、石油市場で、軽油券やガソリン券を受渡しの一つにする。そうすれば、バス会社やタクシー会社は軽油市場に関心を持つかもしれないし、個人でも、自分が年間に使う分ぐらいのガソリン券なら、ヘッジのために買っておこうとなるのではないか」
 この種の話は、商品先物業者からも時折出てくるが、過去、実現化されたことはない。しかし、中京ガソリンの先物については今も、ガソリンスタンドが安いガソリンの購入を目的に利用しており、こうした受渡し前提の取引からでも、

商品先物市場に関心が高まるのは悪くない。
 以前なら、商品先物業者の多くが、「そんな効率の悪いビジネスはできない」と言ったかもしれないが、今はどうだろうか。同じことはコメ先物市場についても言えるだろう。要は、一般個人が身近に利用できる市場作りが、目下の国内商品取引所にとって、意味があるかどうかである。
 仮に、取引所は、そこまで個人投資家のためのものではないというのであれば、それこそ、店頭取引業者に、それぞれの相違工夫で商品を開発させ、そのヘッジのために取引所を利用させれば良いとも思わされる。
 現在再び検討されているという「金オプション」についても同様の発想がなく、「損失限定商品」というだけでは、個人投資家も商品先物業者も振り向かないに違いない。
 先物市場が、モノの流通の一つの手段として活用される可能性を示せば、業者の信用問題も自然に解決されていくのではないかとも思えてくる。
 こうした個人投資家を対象にした小口受渡しに関する意見は、国内商品先物取引業者からも時折聞かれるが、実際の経営コストを考えれば難しいと見る関係者が少なくない。特に、取組高がここまで減少している中で、「サービス」にも等しいこうした小口受渡しなど検討に値しないと苦笑いする関係者は今も少なくないのが実状だ。
 しかし、忘れてならないのは、FX関係者もまた、現在では、商品先物取引業者として登録されている業者数が増えていることだ。そして、FX業者はFX業者でまた、FX一本槍のビジネスに限界を感じ始めている業者も少なくなく、だからこそ海外もののCFDも視野に入れた上で商品先物取引業者登録に踏み切ったのである。古い制度に縛られがちな商品先物市場関係者もまた、こうしたFX関係者たちの声に耳を傾ける時があってもいいだろう。
 そうはいっても、インターネット中心のFX業者にとって、「商品」はやはりもどかしい存在でもある。というのは、「既存顧客といっても、『商品CFD』というタグをクリックする顧客数が少ない」(同FX業者)からだという。「これだけ、金価格が上がった今年でさえ、商品CFDへの食いつきは悪かった。それだけ、ネットだけの商品CFDの勧誘は大変」(同)なのである。
 国内の商品先物取引業者からも、今回の取組高減少を見て、「何といっても、新規口座の拡大が急務だ。しかし、今の営業スタイルでは簡単ではない」という嘆き節が聞かれる。ただ、それは、いわゆる勧誘規制のせいばかりではなく、新しい商品やサービスの開発も不足しているのだと、こうしたFXや実業者たちの声を聞くと思わされる。

 (2013年4月15日―第1180号