平成25年月8日(月)(毎週月曜日発行)第1191号      発行所 有限会社 先物ジャーナル社
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日本テクノシステム



◇衆議院・経済産業委員会
  東商取の日本取引所グループとの統合問題を議論
   「取引所商品先物取引は不招請勧誘禁止解除」の方向示す
◇"先物寸言" 今でしょ
◆"談話室" 「隔絶された商品先物市場」は誤解
◆"先物文化" 「時そば」と透明ゴリラB


衆議院・経済産業委員会
東商取の日本取引所グループとの統合問題を議論
「取引所商品先物取引は不招請勧誘禁止解除」の方向示す
  
 第183回国会の衆議院・経済産業委員会で6月19日、民主党の近藤洋介・岸本周平両委員が総合取引所の商品先物市場について、@日本取引所グループと東京商品取引所の統合、A東商取と海外取引所との連携、B日本取引所グループによる独自のコモディティ上場、C取引所システム、D総合取引所に関する経産省の姿勢および商品取引所とその子会社への天下り、E税制等の各問題について質問し、茂木敏光経済産業大臣と金融庁担当の寺田稔内閣府副大臣らが答弁した。さらに現在、商品先物取引について禁止されているF不招請勧誘についても、行為規制が異なる証券会社などとの整合性を踏まえ見直しを問う質問があり、「金融と同様に不招請勧誘の禁止を解除して、取引所取引については行えるようにする方向で推進していく」(寺田副大臣)との答弁があった。

 「日の丸連合」での統合推進を要望
 2007年の第一次安倍内閣以来、自民党だけでなく民主党も推進してきた総合取引所構想。その中で、先送りにされてきた商品先物市場の取り扱い方について、長らく金融・証券関係者の間で指摘されてきた問題点の幾つかを、野党に下った民主党両議員が攻め込んだ。
 まず今後の総合取引所については「日本取引所グループを中心に議論が進められることが有望」(茂木大臣)との茂木大臣の基本認識を確認した上で、近藤氏が質問したのが、東京商品取引所が模索しているとされる海外取引所との連携について、
 「もしシカゴとシステム連携するとなると、日本取引所と異なるシステムとなり、事実上日本取引所と東商取の統合は不可能になるのではないか。取引所統合については日の丸連合でやるように(経産省が)指導すべきではないか」と糾した。
 これに対し茂木大臣は、「総合取引所構想はそもそも、わが国の取引所の国際競争力を高めるためのものであり、その観点から国際的な連携を否定するものではない。その一方で、日本の取引所としての厚みを増すという基本的な流れを阻害することがあってはいけないと考えている」と答え、近藤氏も「ぜひそういう考え方で商品取引所についても、ゆめゆめ(経産省)自身の取引所が変な形で延命をするととられないようにご指導いただきたい」と語った。
 システム問題については岸本氏も質問し、金融庁側の意見を寺田副大臣が代弁した。寺田副大臣は、かりにTOCOMがCMEのグローベックスを使うようになると非常に大きな取引コストを市場参加者に課すことになってしまう上に、OMXを使っているJPXとシステムが異なってくることから、全体の日本総合取引所の実現が困難になる。また、「グローベックスは、自分の本拠にヘッドクォーターを置いて、そこでやりなさいというシステムなので、他の国がそのシステムを採用しても、価格形成の場はシカゴになり、これも日本市場の活性化から見ると大変大きな問題であると認識している」と語った。
 近藤氏はまた、日本取引所グループが独自にコモディティを上場することについても「だめだという場合がありうるのか」と質問。これに対して、茂木大臣が「エネルギー分野のように相互に関連を有する商品群については同一の取引所で扱われることが望ましい」など従来の見方を繰り返すと、近藤氏は「そうなると、電気なども仮に参加者が日本取引所の方が規模が大きいのでそちらでやって欲しいと思っても、商品取引所になることも考えられる。であればなおのこと統合を急ぐべきではないかと思う」と重ねてJPXとTOCOMの統合について語った。

 経産省の姿勢問う質問も
 岸本氏は、総合取引所の推進について、「経産省の事務方は2007年当初は『このままだと商品取引所は消滅する。天下りの先輩がいるかいないかは関係ない。これはもうやらなければいかん』と前向きだったが、今は後ろ向きになっているのではないか」と疑問を呈した。
 岸本氏自身、経産省に2年間出向した経験から、「答弁書には官僚の筆を通して本心が出る。ちょっとした想定問答の表現などで、微妙に表現を変えてきている」などとした上で、具体的に、「2012年の産業構造審議会の報告書では総合取引所については『期待される』という表現だった。一方で、別のところでは『国際的な連携を、資本関係を含めて模索、追求すべきである』と、ものすごく強い表現で書いている」など、総合取引所に関する目下の経産省の姿勢を糾した。
 岸本氏はまた、金融・証券業界でJPXとTOCOMの統合のハードルの一つとささやかれているTOCOMへの天下り問題についても触れ、「以前、茂木大臣に、31年間、5代続けて東京商品取引所の社長が経産省の天下り。6人目はないですよねと申し上げたら茂木大臣からは『李下に冠を正さず』ととても前向きな言葉をいただいた。本当に6代目は経産省からは出さないと、ここで表明して頂きたい」と追及する場面もあった。
 これに対し、茂木大臣は、「岸本委員は役人時代、優秀で、政治家を掌の上で使っていたかもしれませんが、私は基本的に想定問答は作ってもらっていない」と、役人の姿勢によって自身の政策が変わるものではないとした上で、TOCOMへの天下りについても、「大前提として、株主総会で決定されること。ただ、役所からのOBがあることによって、総合取引所を進めることが阻害されることがあってはいけないという前提の上で、立場が高い人ほど李下に冠を正さずという姿勢で対処していきたいと考えている」と、明言は避けたものの、今後の天下りについては慎重に考える姿勢を示した。

 規制のすり合わせ急ぐ
 岸本氏はまた、6月14日に閣議決定された規制改革実施計画で、「証券・金融・商品を一体に取扱う総合的な取引所創設のための整備をタイムリーかつ着実に進める」とされたことについて、「タイムリーかつ着実に進めるとはどういうことか」と寺田副大臣に尋ねた。
 これに対して、寺田副大臣は、90年、91年に氏自身が出席したボカラトンの国際会議に同様に招聘されたTOCOMが出席しなかった過去の例などを指摘した上で、「TOCOMが隔絶された世界の中で自前でやろうとする意図があり、結果的に取引量も細っているという認識を強くした」と語り、金融庁サイドでタイムリーかつ具体的な取り進めを行っているとして、@海外における統合の実例の調査、Aシステムの共同利用の具体的な取り進め、B異なる規制のすり合わせ等を行っていることを明かした。
 特に規制のすり合わせについてはこの後、岸本委員から投資家税制と行為規制の法改正を求める意見があり、寺田副大臣も、税の問題については「金融商品間の損益通算に、デリバティブ全体も含めることによって、全体の市場の活性化が期待できる。金融庁としては、税制要望でその推進のための改正要望をしている」と語った。
 また不招請勧誘についても、「現在、商品取引の方はこの規制がかかっている、禁止になっている状態だが、金融と同様に不招請勧誘の禁止を解除して、取引所取引については行えるようにする。その方向で推進していきたい」と語った。
 (2013年7月8日─1191号)