平成25年月19日(月)(毎週月曜日発行)第1196号      発行所 有限会社 先物ジャーナル社
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日本テクノシステム



大阪堂島商取・岡本安明理事長に聞く
   コメ先物の存在訴える 大証・鄭州商取とのコラボを検討
◇"先物寸言" 蛙の面に水
◆東商取=「スキルアップ講座」を開催
◆"アングル" ・金価格下落とともに、金鉱山のヘッジ取引が活発
       ・Anglo Gold社、800名の管理職を解雇
       ・丸紅、アイルランドの新エネルギー会社株の25%を取得
       ・ヘッジファンドは「ファミリー・ビジネス」に回帰
       ・中国の大手ブローカーが仏銀行の商品先物部門を買収


大阪堂島商取・岡本安明理事長に聞く
コメ先物の存在訴える 大証・鄭州商取とのコラボを検討
  
 大阪堂島商品取引所が申請していたコメ試験上場の2年の延長が、農林水産省より認可された。今後の同取引所の課題は、いかに取引を活性化させ本上場へ移行できるかということである。本上場へ向けどのような取り組みを行っていくのか。岡本安明理事長に聞いた。
  
 地道な啓蒙に手ごたえも
 ──コメ先物市場を今後どのように啓蒙していく計画ですか。
 「私は、大学の寄附講義で先物の歴史を教えているが、地道ではあるが、このような取組が将来必ず活きてくると思う。それから、大証(大阪証券取引所)とは、同じデリバティブを扱う取引所として啓蒙活動を一緒にやろうということになっており、例えば、株、商品のシミュレーション売買を行って、そのチャンピオンを決定するコンテストを現在検討している。また、大規模なセミナー開催もよいが、様々なイベントを通じて、人が行き交うところで、『そのようなものがあるのか』と取引所、コメ先物取引の存在を訴えていくことも重要と考えている。今後は、各方面の関係者の方々の知恵も拝借しながら、地道にやっていかなければならない。また、そのような気概をもった集団づくりから始めていきたい」
 「本所が伝えていきたいのは、世界で最初の先物取引は日本で始まった、日本人はすごい、みんな誇りに思いましょう、ということだ。『皆さんの中には、商品先物が自分には直接関係ないものと思っている方も多いと思いますが、実は関係あるのですよ』と、社会インフラの部分をきちんと伝えていきながら、併せて商品先物は資産運用の1つの重要な選択肢だということも強調していきたい」
 ──『堂島トライアルプロジェクト』、『堂島先物塾』など個々の取り組みについて、どう評価していますか。
 「少しやって判断するのではなくて、継続してこうした取り組みを行うことにより、先物取引あるいは大阪堂島商品取引所のファンを増やしていく。単純に1日10人お伝えしていけば、月300人になり、年間では3600人になっていく。10年続ければ3万6000人になるわけだ。また、そこにプラスアルファがついてくる。そういう取り組みが本当の啓蒙だ」

 商品設計議論も積極的に
 ──7月のコメの出来高が東京コメ、大阪コメともに前月比で10%台の増加となりました。
 「それは、会員各社にご協力いただき、いろんなキャンペーンを実施した効果も確かにあるが、もう1つは、4月に新甫発会した10月限新米から格差を限りなくゼロにした。これが当業者の方々にとっての利便性向上となり、市場機能の回復にもつながっている。今後、商品設計を含めた議論をより積極的に展開していこうと思う」
 ──コメの試験上場延長を申請するに至った経緯と本上場に向けた取り組みについて。
 「2年間の試験上場が終われば、本来であれば、本上場の申請となるのだが。ただやはり、本上場に対する抵抗感をもっている方々も存在するので、むしろ慎重に、という意味で、もう一度延長させて下さいと(農水省に申請した)。ある意味では、試験上場の2年間が終わって、まだまだ途中経過であると。たとえば、金融商品であれば、もっとスクラップ・アンド・ビルドの発想で、だめなものは止め、次のものにしたらよいと思うが、(コメは)第一次産品なので、むしろ2年という短期間で是非を問うということではなく、もう少しじっくりと構え、より慎重になってでも市場を継続した中で、あと2年間は、もう一度そういうもの(本上場) へ向けてがんばろうということだ」
 ──最近のコメ先物市場の参加状況をどうみていますか。
 「全米販(全国米穀販売事業共済協同組合)も、本所に会員として加入していただいたし、卸を中心に先物市場を使おうというキャンペーンもしていただいている。机上の勉強ではわからないので、とにかく一度でも利用してみて下さい、そこから問題点を議論しましょう、ということだ。実際に取引をする前の説明も大事ではあるが、やってみて試行錯誤することから始めないと、といった中で先物取引に参加する動きが出てきた」

 日本のコメ価格のイニシアチブは日本が
 ──一般の人々の参加を促し取引を活性化へと導くには、もっと情報・データが必要になると思いますが。
 「例えば、相場変動要因として、コメがたくさん取れる、取れないなどのデータが、日々出てくることはないのが現状。本所では、農水省が(コメの)発表しているレポートをある程度ベースにした独自のコメ・レポートを月に1回出しているが、果たしてそれをどれだけの人が見て、どこまで相場に影響するのか。それから、現実に政府の備蓄米を放出するか否かといったことですら、あまりニュースにならない。それは、市場性が薄いからということも1つの理由だろう。日々材料が出て、それに反応する市場を目指すのなら、どんなデータが相場変動要因となるのか洗い出し、そのデータがいかに信頼性のあるものか(を考えなければならない)。
 ここは、本所が多種多様な情報を日々発信することにより、それらの情報が相場に反映されるような環境を作り上げていく必要があるのではないか。たとえば、現在の為替取引で、なぜ雇用統計により値が動くのか。為替と雇用統計が直接どのような関係にあるのか、それは多くの情報を提供することにより、そのような流れが作り上げられていったのではないか」
 ──大阪堂島商取のコメ市場の位置づけをどのように捉えていますか。
 「少なくとも今の段階で、いろんな意味で海外からの参加を呼びかけられるようなレベルではない。ただ、世界で一番おいしいコメ、日本のコメの価格をきちんと発信する機能を、本所は持っている。唯一価格を世界に向けて発信できるということはすごく重要なことだが、やはり商いが多い市楊の価格と少ない市場の価格とでは、信頼性と重要度が違うわけだから、市場規模を高めていかなければならない。日本のコメ価格のイニシアチブは日本がとらなければならない。(中国の)鄭州に上場される予定のコメは短粒種だから、それを供用品に加えてはどうかなどと検討している。だから、本当にコメが自由化されれば、いい意味でコラボも可能となる。我々は今年の10月頃に鄭州(商品取引所)に行こうと思っている。ライバルになるのかコラボができるのかということも含めて検討したい」
 ──鄭州商品取引所とのコラボレーションについて詳しく。
 「今の関税の問題とか、TPP(環太平洋経済連携協定)の問題など大きなことが解決していない中で勝手なことは言えないが、最終的には、少なくともそういうことも進めてグローバルな市場機能が果たせるような状況になればと思う。受渡供用品を一緒にして、向こう(中国)の受渡しもこちらの受渡しも自由にできるとか、向こうに指定倉庫を作って、日本のコメを向こうへ持って行き、その倉庫での受渡しを可能にする、などと考えている」
 (聞き手:コモディティ・ジャーナリスト 大地 泰夫)
 (2013年8月19日─1196号)