平成25年月26日(月)(毎週月曜日発行)第1197号      発行所 有限会社 先物ジャーナル社
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日本テクノシステム



国民生活センター
  2012年商品デリパティブ相談件数、前年比40%減少
   国内商品先物は7年連続減少
◇"先物寸言" 金は落ちた偶像か
◆"焦 点" 国内商品市場の行方(上)
◆"談話室" I氏の近況
◆東金取=ユーロ円金利先物の期先ゾーンの活性化を策を検討


国民生活センター
2012年商品デリパティブ相談件数、前年比40%減少
国内商品先物は7年連続減少
  
 日本商品先物振興協会は8月21日、同協会が今年7月に国民生活センターに照会し、その回答を元にとりまとめた2012年度の「商品デリバティブ取引」に係る相談件数を発表した。それによれば、12年度の商品デリバティプ取引全体の相談件数は899件で、前年度に比べて約4割減少し、2006年の調査開始以来、初めて1千件の大台を割り込んだ。国内商品先物取引の相談件数は213件で7年連続の減少となり、「数次にわたる規制強化と自主規制定着の結果、商品先物取引業者にコンプライアンス意識が十分に浸透・定着していることが窺われる」(同協会)と評価している。
  
 「業者改革」訴え、環境改善に努めよ
 今回の調査で最も目立ったのは海外商品先物(オプション取引、ロコ・ロンドンまがい取引を含む)の相談件数が2011年の638件から320件へと半減したこと。同取引の相談件数は、ピークだった2010年には2388件だったから、2年間で約9割減少したことになる。
 海外商品先物の急激な相談件数減少の理由について、振興協会は「2011年1月1日に施行された商品先物取引法により、海外先物取引および店頭商品デリバティブ取引取扱業者が国内商品先物取引と同様に許可制とされたことで同法施行以前の業者の淘汰が進み、許可を受けた商先業者だけが海外取引関連業務を手掛けるようになったことが最大の原因」としている。
 実際、2010年度に2388件だった海外商品先物取引に係る相談件数は、同法施行後1年間で638件にまで一気に減少し、以後も前述のように半減を続けている。2013年も1月から6月までの半年間で121件と、今年も大幅に減少しそうだ。
 国内商品先物取引についても、再勧誘禁止に始まる勧誘規制強化を受けて2007年度に前年度比で5割以上相談件数が減少。以後も7年連続して減少しており、7年前の2005年に比べれば、2012年度はおよそ5分の1まで縮小した。特に、不招請勧誘の禁止が法律で定められた11年度は、前年度比で58%減と急速に相談件数が減った。この傾向は12年度も維持され、11年度比で40.4%の減少となっている。
 また、国内・海外商品デリバティプ取引を合計した相談件数でも、2012年度は899件と、同協会が統計をとりはじめた2005年以降、初めて1千件の大台を下回った。
 いずれの数字も、過去7年間に及ぶ政府による「規制改革」が今、「業者改革」に繋がっていることを示す調査結果といっていい。少なくとも、国内商品先物取引に係る勧誘規制強化を嫌って、当時は野放し状態だった海外商品先物関連業務に移行した悪質な業者による顧客トラブルが、国内商品先物取引業者の評判にも影を落としていた時期があったことを思えば、規制強化は結果的に国内商品先物取引業者の評価についてもプラスの結果をもたらしつつあると言える。
 とはいえ、商品デリバティプ取引については、証券取引やFX取引と異なる勧誘規制や営業環境の下で、新規個人顧客の導入が停滞している現状がある。
 例えば株やFXについては、すでに主要なテレビ局・新聞社などでかなり具体的な広告宣伝まで認められているのに対して、商品先物取引については、テレビ・新聞などマスコミ例の理解が進まず、いまだに媒体側の広告規制などによって、具体的な露出が難しい環境が残っている。
 また、株式取引については10%の優遇税制や、2014年1月に始まる小額投資非課税制度など税制面での政府の後押しがあるのに対し、商品先物取引にはそうした税制面での振興策は見られない。
 そうした証券・FX業界に対する取扱いと国内商品先物取引業界に対するそれとの間にある「違い」の背景にあるのは、昔ながらの国内商品先物取引業者と取引所に対するイメージの悪さであると、一般的に考えられている。
 しかし、今回の調査結果を始め、国内商品先物取引業界については「改善」を示す兆候がすでに数多く見られる。市場規模の縮小もまた、逆に見れば、「現在の業者規模であれば、妥当な市場規模であり、現在の業者がそれなりに正当な取引を行っている結果」(商品先物関係者)であるとも見られる。
 今後、国内商品先物市場を啓蒙し、活性化するのであれば、まずは、こうした調査を重ねて行い、その評価を広く認知させることで、取引所および業者の信用を高めていくことが必要だ。
 その上で、税制なども含めで、他の市場と遜色のない取引環境の整備を粛々と進めることが望まれる。
 (2013年8月26日─1197号)