平成25年月9日(月)(毎週月曜日発行)第1199号      発行所 有限会社 先物ジャーナル社
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日本テクノシステム



CFTC、顧客保護規制強化へ
  先物業者に新たに1千億ドル規模の担保要求も
◇"先物寸言" 再び総合取引所構想
◆日商協=店頭商品CFD、7月残高は23億7400万円
◆"アングル" 金、個人投資家が金価格を上げる
◆"先物文化" 自分の中の他人と世阿弥A
◆JCCH=8月末委託総額は2ヶ月連続前期比増加
◆ドットコモディティ=香港事務所を開設
◆先物振興協会=常設委員会名簿を更新
◆金融庁・2014年度税制改正要望


CFTC、顧客保護規制強化へ
先物業者に新たに1千億ドル規模の担保要求も
  
 米商品先物取引委員会(CFTC)は9月3日、MFグローバルやベレグリン・ファイナンシャル・グループ倒産以後の顧客保護規制を強めるための規則変更案をほぼ作り終えた模様だ。とりまとめには、先物業者が清算口座に保持しなければならない担保金額をほぼ2倍に増額する要求も含まれていると、ウォールストリート紙などが報じた。欧米ですでに施行され始めている金融機関による店頭デリバティブ規制と異なり、先物取引所で取引している非金融機関の投資家にも影響が及ぶため、農業関連企業なども、取引コストの増加について関心を高めている。米先物業協会(FIA)は、CFTCが先物業者あるいはその顧客に対して、新たに1千億ドル規模の追加担保を求める可能性もあると予想している。

 広がる規制の輪
 米国では、金融市場の安定化を目的として、2010年のドッド・フランク法など、金融機関による店頭デリバティブ(金融派生商品)を対象に、あらかじめ清算機関に担保を預けて集中決済するか、取引相手に直接担保を預けることを義務付けるなどの規制強化を進めている。
 同様の規制はEUでも「欧州デリバティプ規制改革」(EMIR)などの形で導入が具体化されつつあり、欧州証券市場監督局(ESMA)はつい最近、2014年1月1日から金利、クレジット、商品、外国為替、株式デリバティブのすべての取引について報告義務を課すことを決めた(取引所デリバティブの報告義務は2015年1月1日から)。
 その規制範囲もボーダーレス化の方向にあり、両地域に本拠を構える金融機関や企業だけでなく、両地域の金融機関や企業を相手に取引する他の国々の企業や金融機関、あるいは両地域の金融商品を対象とする取引きにも及ぶとされているため、その影響が世界的に広がることを懸念する声も根強い。実際9月5〜6日に開催されるG20でも、まずは金利スワップやCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)などを対象にした清算・報告義務規制導入が合意されると見られており、規制強化の輪は着々と広がりつつある。

 日本の個人投資家にも影響か?
 ただ、これは日本でも約45兆ドルに上るとされる金融機関や大手企業を中心とする店頭デリバティブ取引を対象にする規制であり、あらかじめ証拠金を差し入れてFXや先物取引所の上場商品などを取引しているいわゆる個人投資家やその取引を取扱うブローカーからは関係ないものだと考えられてきた。
 しかし、CFTCの今回の規制強化によって、少なくとも米国先物市場で取引している米国の農業関係者や企業はもちろん、米国市場を使っている日本の企業や投資家についても担保金増額が求められる可能性が出てきた。
 ウォールストリートジャーナル紙はその点について、今回の規制は10億ドル以上の顧客資金を「持ち出した」MFグローバルや、2億1500万ドルの顧客資産を「盗んだ」ベレグリン・ファイナンシャル・グループのような先物会社が2度と現れないようにすることで企業や投資家などを守ることにあるとCFTCの狙いを解説した上で、しかし現実には「ブローカーたちは、そのコストを顧客に転嫁すると語っている」とずばり指摘する。
 また、先物市場をリスクヘッジのために利用している農家や養豚業者などの団体の、「こうした規制は、業者にとって何の保護にもならない」といったコメントも合わせて紹介している。
 米国先物市場での取引をすでに、日本の個人投資家向けに提供している日本のあるブローカー関係者も言う。
 「MFグローバルが破綻した際、世界中で投資家たちが預けた資金の回収が出来なかったにも係わらず、日本のFX会社や商品先物会社の顧客だけはいち早く預託金を払い戻された。それは、日本では、海外取引を行う顧客の資金を、ブローカーが国内で100%信託保全しておかなければならないという厳しい規制があったからだ。その点、日本の顧客保護は、米国よりも進んでいるともいえるし、それだけで十分だと思う。仮に米国の先物市場での取引について、日本からの取引についても米国内の清算ブローカーに対して担保金を増額しなければならなくなったら、日本のブローカーの負担はさらに増えることになり、ビジネスリスクを避けるためにも、顧客に負担を求めざるを得なくなる。行き過ぎた規制は、取引をする顧客にとってもマイナスでしかない」
 ドツド・フランク法やEMIRといった欧米市場の規制が、直接的に個人投資家にまで及ぶことは無い。だが、ブローカー規制については、間接的に取引コストの増加などの形で影響する可能性はある。それは、国内市場もまた同様だ。行き過ぎた規制が出てこないよう、今後の規制強化についてじっくりと見守りたい。
 (2013年9月9日─1199号