平成25年11月11日(月)(毎週月曜日発行)第1208号    発行所 有限会社 先物ジャーナル社
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日本テクノシステム



◇インタビュー=日本の商品先物市場活性化のために
  潜在的な市場参加者のニーズを見極めることが第一
    ニューエッジ・ジャパン証券 執行役員・営業部長 杉谷 誠氏に聞く
◇"先物寸言" 回想 新規上場 B
◆東京商品取引所=金もついに1日2万枚割れ
◆"焦点" 「商品先物業者性悪論」への反論(4)
◆"先物文化" 器の中の空虚と「今ここ」


インタビュー=日本の商品先物市場活性化のために
潜在的な市場参加者のニーズを見極めることが第一
    ニューエッジ・ジャパン証券 執行役員・営業部長 杉谷 誠氏に聞く
  
 ニューエッジ・ジャパン証券は、世界最大の先物取引会社のひとつであるニューエッジグループ(本店パリ)の日本法人であり、国内でも金融・証券・商品などすべてのデリバティブ市場に携わっている。現在同社の営業部長、コモディティビジネスで現場経験の豊富な杉谷誠氏に、わが国の商品先物市場活性化のために必要なものは何か、聞いた。
(益永 研)
市場参加者のすそ野を広げるマーケティングを
 ──日本の商品取引所について、現状をどうご覧になっていますか?
 杉谷:国内では東京商品取引所(以下TOCOM)の出来高が低迷する中、金などの市場価格動向に頼らざるを得ない状況となっています。金が動けば(特に価格上昇トレンドにある時など)取引高が増加し、動かなければ(下落に転じると)減少する市場です。何故そうなのか、そうでないようにするにはどうすればいいのか。それが今後、国内商品先物市場活性化を考える上でのテーマの一つになると思います。
 ──海外の商品取引所の取引高はそう大きく減少していませんね。
 杉谷;海外、特に米国の商品先物取引所には幅広い取引参加者が存在、すなわち取引参加者のすそ野が広いため、元々市場規模の違いがあるのに加え、価格動向に拠らず一定の市場流動性が確保される構造が出来ています。そんな中今年欧米の先物ブローカーは新たに導入されたOTC取引に関する規制への対応に追われました。規制環境強化により業務コストが上昇、今後も段階的な強化に伴い更にデリバティブ業界の淘汰が予想されています。
 ──欧米の規制強化による日本への影響は?
 杉谷:米国やEUの規制強化によりOTC取引の主体となる欧米居住者は少なからず影響を受けています。そんな中、日本国内の当業者は米国居住者とのOTC取引を控える傾向にあります。ここまで取引所市場(もともとの規制市場)の流動性に直接的な影響は出ていないよう見受けられますが、今後業界の変遷と共に全体的な市場動向には目が離せない状況です。
 ──そうした環境変化の中で、TOCOMが復活するためにはどうすればよいのでしょうか?
 杉谷:目先、TOCOMや受託業者は潜在的に取引ニーズを見極め、各々ビジネスを行う顧客層ごとに営業戦略を立て実行していかなければなりません。例えばスプレッドなどのストラテジー取引促進。制度上の障害があればその対応や啓蒙を取引所含め業界が一体となって行う。海外委託者に対しては特に海外市場との競争にあるという認識の中で国内市場の差別化を行い更に積極的なアプローチが必要です。
 ──TOCOMについては、全体の取引量が減ったこともありますが、取引高に占める海外玉の割合が40%を超えています。海外玉は今後さらに増えるのでしょうか?
 杉谷:潜在的に海外委託者の取引が増加する可能性はあると考えます。証券、金融、商品を問わず取引を行うトレーダー、取引所間の裁定取引を中心とする参加者、他さまざまな戦略を持つトレーダーがCMEグループなど他市場には限りなく存在しています。そのような市場参加者の注意や興味を引き付ければ更なる取引増加が期待出来ると考えます。また国内の総合的な取引所構想の実現、その他取引所との提携などにより幅広いネットワークを利用した活動が可能となれば取引高にはプラス要因と成り得ます。
 ──国内外を問わず、新たな投資家を開拓するために、TOCOMとしては何が必要でしょうか?
 杉谷:目先、根本的な期近限月の流動性欠如を改善する秘策は出ないと仮定して、法人ヘッジ玉や国内外の自己玉を少しでも多く呼びこむためEFP、EFSなど海外商品市場で活発に行われている制度の利用を促進、その為の書類手続き簡素化、石油クラック取引の導入、その他大口委託者の取引ニーズを充たすための対応が必要です。改めて取引コスト削減、更なるインセンティブ導入、リスク管理体制の充実を行うことも必要です。短期的には大口取引の参入を促し市場流動性を維持、向上させるため国内外の会員、非会員で自己取引を行うプロップトレーダーなどに対して、マーケットメーカーやリクイディティプロバイダー制度を提供するなどインセンティブスキームをフル活用することが必要です。国内の一般投資家営業は経験がありませんが、例えばプログラム売買の提供、他取引を促進する手段の拡大や取引戦略の幅を広げる事は難しいのでしょうか。
 ──最後に、総合取引所時代のTOCOMの今後についてはいかが思われますか?
 杉谷:市場参加者や関係者それぞれ立場がさまざまであると思いますが、日本人として国内の取引所や市場がアジアナンバーワンとなり、世界での位置づけを確固たるものにして欲しいと願っています。
 ──有難うございました。
 (2013年11月11日─第1208号