平成25年12月2日(月)(毎週月曜日発行)第1211号
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日本テクノシステム



◇金融庁・日本取引所グループ
  国際コンファレンス「アジアの取引所の未来」開催
   香港取CEOは商品デリバティプの重要性を指摘
◇"先物寸言" 橋本喜作の投機礼讃〜ハマイト名物記者ほえる
◆東商取=取引実態調査結果を公表 個人投資家り売買高シェアは27.9%
◆東商取・ギンガ・OTC運営会社を設立…
◇"焦点" 「商品先物業者性悪説」への反論(6)


金融庁・日本取引所グループ
国際コンファレンス「アジアの取引所の未来」開催
香港取CEOは商品デリバティプの重要性を指摘
 
 11月24日、中央合同庁舎講堂で、金融・証券・商品先物関係者らおよそ500人以上が参加し、国際コンファレンス「アジアの取引所の未来」が開催された。主催は金融庁と日本取引所グループ(以下JPX)で、第1部の「アジア取引所の課題」では、香港取引所、タイ証券取引所のトップらがアジアの取引所の現状と課題などを講演、第U部「アジアにおける東京市場」では東商・大証合併後の日本市場の取組について、金融庁の遠藤俊英総務企画局審議官を交えたパネルディスカッションが行われた。講演の中で、香港取引所のチーフ・エグゼクティブ(以下CEO)、チャールズ・シャオジア・リー氏は、中国本土の商品先物市場の成長を紹介した上で、今年買収したLMEを中心に、アジア市場におけるコモディティ・デリバティブ市場の重要性を指摘した。遠藤審議官もまた、商品デリバティプについて触れ、金融・商品両方のデリバティブを取引する「総合取引所」の構築を改めて宣言した。参加した商品先物関係者からは、「総合取引所時代の中での商品市場、そして東京商品取引所の今後について、改めて考えさせられた」といった声も聞かれた。

 アジアの市場経済化が広がる中で
 香港取引所のリー氏はこの日、@LMEネットワークの活用、A株式だけでなく金融およびコモディティ先物拡大による横断的な投資市場の構築、B中国本土との密接な関係に基づく人民元によるオフショア取引の拡大、Cプラットフォーム等ITの充実などを柱とした成長戦略を進めていくと今後の展望について語った。
 コモディティについては、中国本土の商品先物市場の総取引金額が95兆人民元と株式市場の31兆人民元を上回る拡大ぶりを見せていることから、LME買収を機に、「世界のベンチマーク」を目指すシナリオ。LME買収だけにとどまらず、今後は中国本土の取引所やアジアの取引所との相互上場を進めていくことでさらなる拡大を目指したいとも語った。
 中国が、鉱物・穀物を始めとする商品の大消費国・生産国であることを考えれば、その「窓口」である香港の商品市場には潜在的に成長力がある。約15兆米ドルの総取引額を抱えるLMEの持つ国際ネットワークも今後、香港の商品先物市場をベンチマーク化する上での助けになるだろう。
 また、タイ証券取引所のエグゼクティブ・パイス・プレジデントのパコーン・ピータタワチャイ氏は、タイ証取における外人の取引総額が2012年5月から2013年4月の1年間で4兆6654億700万パーツと、前年度より29%増加したことなどを報告。その上で、タイ、フィリピン、マレーシア、シンガポール、ベトナム、ミャンマー、インドネシアなどASEAN6ヵ国、7取引所が「アセアン取引所」を共同で開始したことも報告した。
 アセアン取引所は、ASEAN lndex(ASEAN Stars、部門別Index等)やASEAN ETFなどを取引。域内全体で3778の上場会社があり、5億9千万人の人口があるASEANにおける投資機会を広げるものとして、デリバティプやCDF、ETFなどにも利用される期待があると説明した。株式を中心にアジア市場は活気づいていることを印象づけた。
 そして、証券だけでなく、商品についても、「アジアにおいて、商品市場とコモディティ・デリバティブは必要不可欠」(この日、コメンテーターとして出席した住友商事総合研究所の高井裕之社長)なものになりつつあるようだ。
 事実、11月に入って、インターコンチネンタル取引所がシンガポール・マーカンタイル取引所(SMX)買収を発表するなど国際的な話題も飛び出し始めている。昨年来、ヨーロッパのオイルトレーダーや穀物トレーダーを活発に誘致しているシンガポールは今後、人民元による中国市場での直接取引が認められることも決まっている。アジアの商品先物市場については今後、中国市場の拡大に合わせて話題が増えそうだ。
 そんなアジアの商品市場の成長の一方で、目下のところ、わが国の商品先物市場は出来高停滞のため、蚊帳の外にある。
 この日のセミナーでも、金融庁の遠藤俊英審議官が、JPXは、証券取引所としては世界3位だが、デリバティプ取引所としては17位に甘んじていると指摘した上で、「日本は、デリバティプ市場、特に商品デリバティプ分野の地位が低い」と語り、「新たな上場商品を開発・創造することで、国際的な競争力を獲得すべきだ」と、商品市場も併せた総合取引所の構築に改めて意欲を示した。

 来年度以降、コモディティ議論活発に
 ちなみに東京・大阪の証券市場の再編に伴う今後の総合取引所戦略について、JPXの斉藤惇CEOはこの日の基調講演で、新たな株価指数やJリート、ETFを上場させる他、アジア各国の取引所との相互上場やクロスマージンを進めることなどを挙げているが、東商取を含むコモディティ・デリバティプについては特に触れなかった。ただ、JPXが今年4月に発表した「中期経営計画」によれば、2015年までの3年間で「コモディテ・デリバティプ分野への進出」が具体的施策として示されており、来年3月には東証・大証合併の仕上げも済むことから、来年度以降、商品市場を巡る動きは加速しそうだ。
 (2013年12月2日─第1211号