平成25年12月23日(月)(毎週月曜日発行)第1214号
    発行所 有限会社 先物ジャーナル社
      発行・編集人 成毛 浩之
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購読料・月2,310円 年27,300円(税込み


日本テクノシステム



◇カネツ商事・若林正俊社長に聞く
  経営見通しと商品活性化にかける思い
   「金」をいかに立て直すか
◇"先物寸言" 証券と商品の文化のちがい
◆"焦点" 「商品先物業者性悪説」への反論(最終回)
◆米CFTC=委員長代理にマーク・ウェッジェン氏を任命
◆東商取=TOCOMインデックスに農産物・砂糖を追加
◆日商協=コンプライアンスの徹底を改めて呼びかけ
◆日商協=4〜11月の累計は苦情27件、紛争仲介17件
 【おことわり】
 編集の都合により12月30日号を休刊いたします。
 本号をもちまして本年の発行はすべて終了します。
 この1年のご購読、ご愛顧、誠にありがとうございました。
 来年が皆様にとりまして佳き年となりますよう祈念いたします。
 なお、1月1日付で新年号を発行し、通常号は1月13日号から発行いたします。



カネツ商事・若林正俊社長に聞く
経営見通しと商品活性化にかける思い
「金」をいかに立て直すか
  
 今年の商品先物業界は、東京商品取引所の出来高が落ち込むなど、厳しい1年だった。そうした中、商品先物のほかFX(外国為替証拠金取引)や株価指数のCFD(差金決済取引)の事業展開をするカネツ商事は、今後どのような経営戦略を打ち出していくのか。また、商品先物市場活性化のためにはどうすれば良いと考えているか。若林正俊社長に聞いた。
  
 商品先物の説明ができる環境に
 ──今年1年を振り返っていかがですか。
 「結構いろんなことがあったが、なかなか厳しい1年だった。はっきり言ってここまで商品が落ち込むとは、想像もしないくらいひどい状態だった」
 ──最近の商品先物業界をめぐる動向について。
 「先日、商品取引所で日商協(日本商品先物取引協会)と先物協会(日本商品先物振興協会)の会合が開催され、なんとか業界を挙げて不招請勧誘の禁止を緩和しようと言っているが、消費者団体や弁護士会が『とんでもない』ということで、(規制緩和)反対の大合唱になっている。とはいえ、われわれとしては何とかしていただきたい。不招請(勧誘の禁止)をはずしてもらわないことには、当社ではこういうもの(商品)も扱っているということも、なかなか言えない。お客様に対して説明もできない環境というのは、いくらなんでも厳しい。多分各社(各商品先物取引業者)さんも、きちんと説明くらいさせてほしいと思っていることだろう」
 ──確かに説明しないとその商品がどれだけいいものかわからないですね。入り口のところでシャットアウトした状態のままでは、商品先物に対するイメージが改善されません。
 「30、40年前に(トラブルなど)いろんなことがあったのも事実だが、最終的には、お客様がああだこうだ言ってくるのは結果論なのだ。この商品先物事業を展開する中で、レバレッジがこれだけあり、相場が上下する中で結果としてお客様が利益を上げたならまだしも、損したということで(苦情を)言われるのは、われわれとしては非常に残念だ。ただ、その代わり、もっとわれわれ自身も、『こういう取引があるから、(取引したら)こういうこともあるのですよ』と言わないといけないし、常にお客様に、相場をやっている建玉の状況などについて、『建玉がこういう状況ですが、どうしましょうか』ということをこちらから投げかけるなど、常にお客様の意思をしっかりと確認していくしかないと思っている」
 ──2013年3月期の決算は純利益ベースで約1500万円の黒字でしたが、14年3月期の決算の見通しを。
 「とりあえず黒字にしたいが、現状ではなかなか厳しい」
 ──商品先物取引における手数料は現在、全体の何割を占めていますか。
 「20〜25%。3年程前だったら、少しできれば40〜50%を占めた」
 ──来年の具体的な事業計画は。
 「(東京金融)取引所としても為替をなんとかして取引してほしいという状況があるので、年明けからFXの新規口座開設者に対して、1、2月と2ヵ月間対面手数料を無料にするというキャンペーンなどを実施する。お客様に対面の良さを知ってもらおうというのが狙いだ。対面の『使い勝手がいいね』とか『こういうサービスしてくれるからいいね』ということを認知してもらえれば、と思う」
 ──商品先物事業に関しては何か経営目標はありますか。
 「なんとかはやく不招請(勧誘の禁止)をはずしてほしいとしか言えないのだが、引き続き、セミナーなどで少しずつ商品をお客様に啓蒙していくしかない」
 ──最も収益を上げている事業は何ですか。
 「株価指数のCFDだ。アベノミクス効果で値段が上がったから」

 LNG上場 「どうやってやるのか?」
 ──東商取がLNG(液化天然ガス)を来年度中に上場する見通しですが、新たに商品が登場することについてどう思いますか。
 「新規商品の登場は悪いことではないのかもしれないが、今、金がこれだけできなくなっている状態の中では、新規商品が出てきたところで『どうやってやるの?』と悩んでしまう。金については、お客様が現物を保有することができる。だからわれわれは、お客様に、いざという時に、例えば、『引かれたら、じっと持っていてもいいのですよ』と言えるけれども、LNGでは、皆さん全然知らないということはないだろうが、一般大衆の方は現受けできない。それは、石油も穀物もそうだった。最初からハンデを負ってやっている感がないわけではない。だから、どうしても一般大衆は(取引する際には)期近ではなく先物になってしまう。金でも本当に取引が増えてくれば、お客様に『(金のほかに)こういう商品もあるから、どうでしょうか』と言うのだが、金もできない状況で、LNGが上場したら、その商品に対して商いがどれだけできるのか、はっきり言ってぴんと来ない。そういう言い方は失礼かもしれないが、LNG上場よりも先にやることがあるのではないか。確かに、万が一金が動かなくなってできなくなった時には替わりの商品がほしいと、先物協会で議論されている。それは十分わかる。でも、そのもとになるもの(取引の中核をなすもの)ができなくなってしまったら、替わるものも何もないのではないか、という気がしなくもない。だから、とりあえず目先としては、金をいかに立て直しするかということだと思うし、それには金に関連するもの、例えば、流通量などが関連してくるかもしれないが、受渡しで100グラム単位のものでもやれないか、という考え方もあるだろう」
 ──来年商品先物業界はどうなると思いますか。
 「はっきり言って、今のままでいったら商品業界は残るのかと危惧している。われわれだって商品を残していきたいと思っているが、経営的なことや社員のことを考えたら、ほかのものを(事業として)やっていかないといけない、というのが現状だ。まだそういうことがやれる力が当社にはあるから、何とか助かっている。商品だけでやっていたら、今ごろ当社はどうなっているのだろう、としか言いようがない。東商取がなんとか生き残ってほしいというのが、われわれの願いだ」
 ──不招請勧誘の禁止が撤廃されたら、商品先物業界は活性化するのでしょうか。
 「やはり一気にというわけにはいかないと思う。ただ、前よりは少しずつ良くなっていくことは事実だろうし、われわれも努力はする。ただ、あまり無茶(な勧誘)をすると、結局世の中から『それみたことか』という話になるだろう。そうなっては困るので、われわれは自制しながらやっていくしかないと思う」
(聞き手=コモディティ・ジャーナリスト 大地泰夫)
 (2013年12月23日─第1214号