平成26年月1日(水)(毎週月曜日発行)第1215号
(新春特別号)
    発行所 有限会社 先物ジャーナル社
      発行・編集人 成毛 浩之
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日本テクノシステム




◇商品市場活性化へ具体的アクション @
   いま、何ができるのか
◇"先物寸言" 史上最強の相場記者〜蠣殻町の至宝 野城久吉
◆2014年 年頭所感
 ・(株)東京商品取引所 代表執行役社長 江崎 格
 ・大阪堂島商品取引所 理事長 岡本 安明
 ・日本商品先物取引協会 会長 荒井 史男
 ・日本商品先物振興協会 会長 岡地 和道
◆"新春覆面座談会" 求められる「脱商取業界人」の気構え
          海外客含めて証券投資家の導入が始めの一歩


商品市場活性化へ具体的アクション @
いま、何ができるのか
  
 商品先物業界の低迷の度合いが深刻になっている。2013年は、東京商品取引所の取引高が約17年ぶりの低水準まで落ち込む場面があった。この状態から脱却しなければならないが、打つ手はあるのだろうか。不招請勧誘禁止の中にあって、各商品先物取引業者自らの努力は勿論だが、取引所が先導して市場を活性化させる動きも期待される。少しでも可能性のあるもの、やれることはすべてやる、という気構えが必要になるだろう。
  
 頼みの金市場の活力低下
 東商取の中心市場である金に元気がない。この大きな要因は、米国におけるQE(量的金融緩和)縮小の決定でニューヨーク金の値が大きく下がったこと。特に日本国内では、アベノミクス効果で株式投資に人気が集中して、商品先物市場への積極的な資金流入がみられなかったことなどにあると言えるだろう。「以前は金の商いが活発になるときもあれば、石油、穀物の商いが活性化するときもあり、それぞれの取引がその時々の状況に応じて活発になっていた」(商品先物取引業者)。これは、不招請勧誘禁止が導入される前、商品先物の勧誘が自由にできていた頃のことである。商先業者にとって、金ができなければ流動性のある別の商品で回せばよいという発想で玉を動かすことができ、顧客にも十分説明する余地があり、個人投資家中心の市場が構築されていた。ところが、規制環境が一段と厳しくなってから金に依存する状況が続いた。不招請勧誘禁止の中にあっても、ニューヨーク金が2000ドル(トロイオンス当たり)を試す上昇の勢いを示した2011年には、東商取の取引は好調であった。しかし、その金も12年末から金ETF(上場投資信託)残高の減少傾向が顕著になるなど弱材料が目立ち始め、ピークから約700ドルも下落。こうした中で起きたのが、東商取金の30年ぶりといわれる大暴落(昨年4月)であった。東商取の業績は、2013年9月中間決算では連結・単独でともに赤字。早急に出来高・取組高を回復させなければならないが、現時点で何ができるのだろうか。

 商品設計の見直しを
 東商取の金市場には、受渡単位でもっと実用的な、例えば「(1キロといった大きな単位ではなく)100グラム単位のものが取引できないか」(市場関係者)との声が聞かれ。同じような意見は複数の関係者から出ている。現受けの面で利便性のある商品設計を東商取が実施すれば取引参加者が増えるのでは、との見通しがある。そのほか、個人投資家から「証拠金が高い。もう少し安くなれば、売買を積極的に行いたいのだが」との声も上がっている。値動きが激しいと証拠金を上げなければいけない事情もわかるが、証拠金をできるだけ低めに設定し、金の小口化を一段と促進して使い勝手を良く(参加しやすく)すれば、金の先物取引をやってみようという機運が再び高まることが期待される。現在でも「市場が活性化するか否かは一般大衆がいかに多く参入してくるか」(前述の市場関係者)が鍵を握るとみられているだけに、東商取は個人投資家の目線で考えてはいかがだろうか。

 オプション市場の活性化は?
 金のオプション取引の活性化も課題だ。コール・オプションの買いでは、損失はプレミアムのみに限定されるため、スマートCXと同じく「損失限定取引」である。不招請勧誘禁止の中、「コール・オプションの買いは損失が限定的になるので、不招請勧誘の禁止に抵触しない」(東商取)ため、そういう意味でも業者によるオプション取引参加のムードが高まるのを期待したいところ。乱高下する先物のヘッジの役割を果たす意味でも、金のオプション市場を整備すべきではないかとの意見が一部関係者から聞かれる。賛否両論あるのは事実だが、まずは「やりたいと思う関係者たちが集まって」(別の商先業者)オプション市場を作り上げる必要があるとみられる。相乗効果で先物取引も活発になる可能性はある。
 LNG(液化天然ガス)のような新規商品を上場することも重要だが、既存の商品を魅力あるものにすべく設計を改善するなどの努力を続けることが、もっと重要なことのように思われる。それは金だけでなく、石油、農産物含めたすべての商品について言えることだ。

 コメの利便性高まる
 昨年、2年間の試験上場の延長が実現した大阪堂島商品取引所のコメだが、当業者の取引参加者が増える中「ヘッジする市場ができたので上場して良かったと思うとの声が関係者から聞かれるようになった」(商品アナリスト)という。これは明るい話題である。大阪堂島商取も、コメの一段の取引活性化へ向け尽力する意向を示しており、心強い。政府による減反政策の廃止決定が市場にどう影響を与えるかとの関連もあり、今後コメ先物取引がどのように推移するか注目される。当業者だけでなく個人投資家の積極的な商い参入が期待されるところだ。
 (つづく)
コモディティ・ジャーナリスト 大地 泰夫
 (2014年1月1日─第1215号